見渡す限りの世界がある。
それがドラクエ8だ。
3DCGで表された世界で主人公たちは自由に走り回ることができるようになった。
戦闘時には、主人公たちの戦っている姿が実際に見えるようになった。
そしてそれはモンスターも同じだ。
戦闘中に生き生きと動くモンスターたち、それは従来のモンスターたちだけではなく新しく加わった面々もそうだ。
今回は、シリーズの中でも大幅に進化したドラクエ8にて初登場したモンスターたちの一部を紹介する。
くしざしツインズ
序盤お野菜モンスターのドラクエ8版である。
バーベキューに使うような串に刺された、色違いピーマンのモンスターだ。
しょっぱなの地方にいるにしては、いきなり戦うと痛い目を見る。二体で一人前だからくっついているようなのだが、串にささって各々思うように身動きを取れないのは不便ではないかと思ったりする。萩尾望都の半神を思い出してみたりなんかして。
それにしても、くしざしツインズという名前の怖さよ。どれだけ仲が良くても、あくまでもこいつらはくしざしになっているのだという強い何かを感じる。二体のピーマンが生まれたとき、二体が離れないようにすぐにくしざしにするというくしざしツインズ村の因習があるのかななどと思ってしまう。が、イルルカの設定ではくしざし状態で生まれるらしい。それもそれでなんかいやだ。
わかめ王子
多くのプレイヤーに、「なんだこいつ!?!?」と思わせたであろうモンスターの一匹。あまりにもひょうきんすぎるその見た目。なのに「王子」。謎に包まれすぎているモンスターだ。
その行動もまた謎で、「わかめ音頭」なる歌を歌うとプチアーノンなりだいおうキッズなりがたくさん現れる。ファンか?ファンなのか?王子というだけあって、カリスマ性抜群ということなのか?地方巡業とかやっぱりしているのか?どちらかというと演歌歌手のようである。
あと、こいつを見ると4コマ漫画劇場で堀口レオ氏がやたらと気に入っていたなということが思い出される。ネタにしやすいのはわかる。
パペットこぞう
当時プレイしていた人の多くが、「パペットマペット!?!?」と思ったであろうモンスター。
そして当然芸人パペットマペットがモデルである。きちんと本人の許可も取っている。
見た目通り行動も個性的で、笑えるストーリーなど、○○なストーリーという行動をしてくる。こちらを1ターン休みにするなどの行動なので鬱陶しいが、モーションがかわいいので「またやってくれないかなぁ」などと思っていた。
そういえば、ジョーカーで登場したときにこいつは物質系になっており「なんで?」と思ったものだが、あくまでもこのモンスターの主役は真ん中にいる小僧ではなく両脇にいる人形たちなのだから物質系で当然なのだろう。パペットマペットだって、真ん中の黒装束の男性などいない、うしくんとカエルくんのコンビなのだから。
ウィッチレディ
初めて見たとき、「め、めちゃくちゃ女の人じゃないか!!」と驚いたものである。ここまで露骨に女性の姿をしたモンスター、おる!?と。ドラクエ8、初めて見たとき驚くモンスター多すぎ。
しかもぱふぱふまでしてくる始末。ドラクエ、本気だしてきたじゃん感。て、敵からのぱふぱふ、どうしてくれるんだ!!
うっとりしてるんじゃないよククール!おい!戦闘中だぞ!と、グラフィックが向上したことにより、たとえククールが棒立ちのままだとしても怒りたくなるのだ。絶対ニヤニヤしてる。
そしてゼシカの「勝利の笑みを浮かべている!」である。初めてこのメッセージを見たときはそうかゼシカは女の子だから効かないんだぁ~などとのんきなことを思っていた。が、時が経ち、そうかゼシカは自分のプロポーションに絶対の自信があるんだなと気づいたときの何とも言えない感じ。つい最近自分のお色気に気づいた子が、そんな笑みを浮かべるだなんて……。
バベルボブル
合体モンスターといえばキングスライムだが、こいつらのそれは似て非なるものである。
4体の独立したモンスター、バル・ベル・ボル・ブルが、ロボットが合体するかのようにガシャーンガシャーンと合体していくのだ。それぞれが頭、右腕、左腕、胴体の役割を果たす。ビルは、いないのだな……。
合体だー!すげー!と初めての時は喜んだが、合体後の強さがとんでもないのでそれからあとは普通に嫌いになったモンスターだ。その後のトロデーン城の難易度も相まって、あのあたりはきつかった記憶しかない。
バブルボブルと間違えそうになるが、それは別のゲームである。
ちなみに、合体時に各々が言っている決め台詞。当時、全部ちゃんと確認したいのに合体までのスピードが速すぎて何を言っているのかわからないというもどかしさでどうにかなりそうだった。
他にもまだまだ初登場モンスターはいる。
変な動きで踊ってくるノックヒップ、目玉がサイコロになっているサイコロン、ひっくりかえるじんめんガエル。
こうして列挙してみると、戦闘時のモーションに自由度が出たためにその動きを存分に生かせるモンスターたちが生まれたのだろうと推測できる。明らかに見た目にも個性的、行動も個性的なモンスターが多い。
このようなところから、ドラクエ史を紐解くこともできるのだ。
(文・やなぎアキ)
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