武器商人トルネコ。
武器屋でバイトをし、自分の店を持ち、天空の剣を探す旅に単身出るほどの武器好き。
武器のために生きる男。
そんな彼の能力の一つはアイテムの鑑定。
彼にアイテムを見せることで、それがどんなものなのかがわかる。
ほぼなんでもわかる。
誰が装備できるのかまで把握している。特にリメイク版はかなり細かいところまでわかる。呪いの有無だってわかる。
見たことがあるものならばまだわかるのだが、明らかにレクイナバ、あるいはエンドール付近をウロウロしていたのでは決して見たことがないであろうアイテムのことだってわかるのだ。
商才でいえば恐らくネネの方が上だろうが、アイテムへの造詣の深さはさすがトルネコと言ったところ。見つけたアイテムにどんな効果があるのかを知りたければトルネコさんに見せればすぐにわかる。
すごすぎる。武器商人なので武器に詳しいのはまだわかるが、武器以外のものにも詳しいのには脱帽。勉強熱心である。
プレイ中は特に何も思わないし、正直どのアイテムがどんな効果を持つかはドラクエ好きであればすぐにわかるので特に何も思わないが、実際に冒険していたら彼の能力は非常に役に立つだろう。それこそ馬車にいるだけで十分なほどの能力である。ダンジョンから帰ってきて手に入れたアイテムを馬車にいるトルネコに見せる。そんな情景はまさしく未知の冒険をしている彼らの日常の一コマだ。
それにしても、なぜあんなにもアイテムに詳しいのか。
やっぱり武器屋でバイトをしていたからか。
武器屋で働くのであれば武器の知識だけあればいいような気もするがそうもいかない。買取だ。武器屋だからと言って買い取るものがすべて武器とは限らない。あの世界では武器屋だとしても防具やアクセサリ、道具も買い取らなければいけないのだ。適正な買取価格を提示しなければ店の信用問題に関わる。
あっちの店では〇Gで買い取るって言っていたぞ!どうしてこの店では安いんだ!と文句をつけられた日にはもうやっていけない。そのため、店に立つ者はすべからくすべてのアイテムの買取価格を頭にいれなければいけないのだ。
そう考えてみると、トルネコさんに限らずあの世界の店を経営している人や店番は全員すごいのかもしれない。
誰一人として買取価格を間違えない。そして、店で売ってはいけないような貴重なものについての判別もついている。そこの判断を間違えて冒険者がうっかり貴重なアイテムを売ってしまったら下手したら詰むのだから、死に物狂いで覚えるのだろう。
多分全世界共通で、アイテムの買取価格表リストがあるのだろう。アイテムの見た目と名称、ある程度の特徴と買取価格が書いてあるリストだ。
それを覚えることが出来たもののみが店に立つことが出来る。さながら、グリードアイランドでカードを集めていたがボマーに壊滅させられていたあの集団のようだ。
だからトルネコさんはあんなにもアイテムに詳しいのだ。逆に言えば、あの能力はトルネコさん固有のものではなく各地の町の店番であれば皆が持っているということになる。
な~んだ、トルネコさんだけがすごいわけではなかったのか。
とはいえ、その知識が旅についてくるというのはありがたいことなのでトルネコさんへの尊敬は止まらない。
あの世界においてトルネコさんが知らないアイテムというのは(ほとんど)ないのだ。逆に、トルネコさんが知らないものはそれこそ天空装備などの伝説のアイテムになるのだから、そういった意味では知らないアイテムはないといっても差し支えはないのかもしれない。
だからさしものトルネコさんでも、不思議なダンジョンシリーズではインパスを使わなければアイテムの判別ができないのだろう。元の世界にはなかったものはトルネコさんの脳内辞書には当然ないからだ。元の世界ではアイテムのことなら何でも知っているトルネコさんだからこそ、未知のもので満ち溢れている不思議のダンジョンは他の人以上に魅力的に思えるのだろう。深く深く探求していくトルネコさんの行動も非常にうなづける。
(文・やなぎアキ)
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