あんまり覚えていないけど好きだった。
ドラゴンボールが好きな人は、初期の、悟空が小さかったころのただただアドベンチャーしていたころが一番好きという人も多いだろう。OPの曲だって「摩訶不思議アドベンチャー」だった。
しかしいつしかドラゴンボールはバトル漫画になっていき、ドラゴンボールを探すということもおざなりになってしまった。
そこに来てGTはあの頃を思い出させるような作品だった。
たしかに地球上ならどこに行くにも一瞬であろう悟空たちにとって、ドラゴンボール探しなどレーダーさえあればその日の内に終わってしまうだろう。
だからこそ舞台を宇宙に移し、かつての、純粋にドラゴンボールを探すという物語に回帰させたのだ。
これは英断だったと思う。
どうしても最終回後の話ゆえに、かつての仲間たちがすっかり年を取っているのは悲しいが、悟空を昔の姿にし地球を舞台としなかったことでそこは解決した。
大きくなったトランクスと、新キャラとして孫のパンちゃんを仲間に据えることで新しい物語ができたのだ。
魔人ブウを倒して地球を救った悟空の強さがあれば、こんな敵楽勝だろ……という違和感がぬぐえないエピソードも多かったが、それでも冒険している彼らを見ることができる嬉しさが勝ったのだ。
宇宙でのドラゴンボール探しが終わってからは、またバトル作品としての側面が強くなっていたがそれでも悪くはなかったと思う。
特にドラゴンボールと戦うという展開はかなり熱かった。あんなチートアイテムをノーリスクで使える方がおかしい。しばしばネタにされる、でぇじょうぶだドラゴンボールで生き返る、に苦言を呈した非常に良好なストーリーだ。
そして、悟空にとって四星球は祖父の形見であり、他よりもよっぽど大切なものだという初期の設定を活かしていたのもえらい。
そうだよ、ドラゴンボールってそういうストーリーもあったんだよと思い出させてくれた。
たしかにもっと色々な面に目を向ければ、GTのお粗末な部分もたくさんある。
わざわざ作らなくてもよかったのではないかという意見ももっとも。
しかし、わざわざ作った割にはよくできていたと思う。
各キャラクターが原作のあとどのように関係を育んでいったかもわりと丁寧に描かれているのもまたグッド。人造人間18号が、弟である17号と夫であるクリリンの間で葛藤し、それでもクリリンのために17号と戦う姿はGTがあったからこそだ。
あとエンディング曲がどれも素敵だというのも忘れないでほしい。OP曲だけではないのだ、GTの良さは。
ただ、超サイヤ人4はちょっといただけない。なんだあのデザインは。
(文・やなぎアキ)