私の戦闘力は53万です、で有名なフリーザさん。
サイヤ人襲来から常に強大な敵に絶望し続けてきた読者に、この上ないほどの絶望感を与えたドラゴンボール屈指の名悪役フリーザさん。
彼は、何度でも変身する!
この変身がさらに読者に絶望を与えた!
最初は小柄だったフリーザ。これだけでも十分すぎるほどの実力を有していたというのに、まず一回目の変身で筋肉隆々に巨大化する!口調もそれまでの丁寧口調から粗暴なものになり、もう力の抑えが聞かんと言わんばかり。
ちなみに冒頭の戦闘力53万というのは第一形態時での戦闘力の話なので、この姿では戦闘力100万以上になるらしい。あほくさ~、ラディッツ戦の1000ちょっとでビビり散らかしてたラディッツ、あほくさ~。
やはり強くなるには巨大化!これはたとえば、あの国民的RPGであるドラクエでもそう!最初は小柄だったラスボスが、変身を経て巨大化するのは常套手段!
しかし聞いて驚け、フリーザはあと二回、変身を残している……。
ということで続いては第三形態。
第二形態もすさまじいパワーだったが、ネイルと同化したピッコロにかなり苦戦してしまったフリーザ。
仕方なく、これまで誰にも見せたことのない第三形態へと変身する。誰にも見せたことないのにあと二回変身があることは知っているんだ。
そして変身するフリーザ!
その姿はまさしくドラクエのラスボスのよう!頭が縦長のピクルスのようになり突起物もやたらと増えたその姿!強そう!強そうである!
やはりとんでもなくパワーアップをしたようで、さきほどまで優勢だったピッコロを圧倒してしまうほど!
助けてくれ悟空ーーー!!
しかも!まだあと一回変身を残している!
これは、ひょっとするとナメック星を覆いつくすほどのでかさと、近づくこともできないほどとげとげしくなるのではないか!?
そしてあっさりと最後の変身するフリーザ!
どうやら鳥山先生が第三形態のフリーザを描くのがめんどくさかったためすぐ変身させた模様!
その結果の姿が!
こえーーーーー!!
え!?
かつてないほどさっぱりしていて、逆にこえーーー!!!
本当に初見でこいつを見たとき、怖すぎてすぐページをめくりました。軽くトラウマでした。漫画だとあまりの恐ろしさゆえに逆に静寂って感じがして恐怖でした。夢に出てくるかと思いました。怖い怖い。
さきほどの鳥山先生がめんどくさがったという理由からこざっぱりしたというのは理屈ではわかるのだが、だとしてもここまで多くのキャラクターを苦しめてきたフリーザの最強の姿が、何の装飾もないつるっとした姿なのはあまりにも衝撃的!現に、変身前にクリリンが想像していた姿はもっととげとげしいフリーザだった!
それが、一切のトゲをなくし、筋肉ゴリゴリのドラゴンボールにおいてめずらしいスリムさを保ち、トレードマークと思われた角までなくなってしまう!ピンクの異星人というイメージだったフリーザが、むしろピンクの要素ゼロになってしまう!
天才……?
めんどくさがった結果、より恐怖を与えるとか、造形の天才……?
当然第三形態ですらたいして歯が立っていなかったピッコロたちは赤子の手をひねるようにやられてしまい、クリリンもベジータもデンデも死んでしまう始末!
悟空がスーパーサイヤ人にならなかったら、もう手が付けられなかったに違いない……。
その後のボスたちも、セルも最終形態はそこまでゴリゴリじゃなかったし、魔人ブウもわりかしシンプルな見た目である。
が、フリーザ最終形態のあの衝撃は越えられない。
セルが一気に美形になろうが、ブウが子供のような大きさになろうが、フリーザのあの恐怖には勝てないのだ。
ちなみにゴールデンフリーザはあまり怖くない。白いから怖いというのも多分あったんだと思う。
(文・やなぎアキ)