自分が勇者ではないという衝撃の展開に身を震わせた、ドラクエの中でも超人気を誇るドラクエ5。
では勇者は一体誰なのか?
そうですね、主人公の息子ですね。
8年の時を経て石化がとけた主人公の前に現れたのは、天空の剣を装備した姿を意気揚々と見せてくる息子(リメイク版)。
石化される前にジャミにも言われたけど……そうか、結婚相手が天空人の子孫で、その子供であるお前が勇者だったのかーー!と判明する場面です。
ここですんなり息子が勇者であることを認めて、素直に喜べる父親ならいいんですけどねぇ。
こらこら、子供がそんな物騒なものを振り回すんじゃないよ。
え?お前が伝説の勇者?はっはっは、ちょっと父さん8年も石像やっていたから疲れているんだ。一旦帰らせてくれ。
最低~~~。この父親全然子供の話聞いてくれない~~。
まぁ子どもが生まれてすぐさま石をやっており、父親の自覚が生まれる前に成長されちゃってますからね。ちょっと仕方ない部分もあるようなないような。
え?天空の剣は勇者にしか装備できないのに、僕は装備できたんだよって?そうだなぁ、そういうこともあるんだぁ。不思議なこともあるもんだ。でもあれだよ、それ別にいてつく波動が出せるだけだから、あんまり振りまわしちゃだめだよ。
だめですね、この父親は。
天空の剣をいてつく波動装置としてでしか認識できていません。なまじ装備できなかっただけに、天空の剣の攻撃力がどれくらいかもよくわかっていないのでしょう。無知の恥。
では、ルドマンからもらった天空の盾も装備させてみましょう。さすがに盾も装備できたら認めるでしょう。
天空の盾も装備できるの?すごいねぇ。でもあれでしょ、その盾もマホカンタが使えるくらいだから。ミミックが出てきたときにちゃんと使うんだよ。その剣と盾をどのタイミングで使うかが重要なんだから、もし難しかったら父さんかピエールに渡すんだよ。
救いようがない。どうして信じてくれないのでしょうか。
自分が装備できなかったという現実を未だに受け入れられていないのかもしれません。許されないです。親に褒められず認められず否定され続けられる息子の心境を考えると筆舌に尽くしがたいです。
ここは、他の人にも息子が勇者であるというお墨付きをもらう必要がありそうです。
そうだ、イシスに行こう。
ええ!?私の息子が伝説の勇者なんですか?
た、たしかに以前私が装備できなかった天空のかぶとを装備できたようですが……。でもあれですよね、まだ鎧が装備できるとは限らないんではないですか?全部装備できないと意味がないと思うんですよ。
むしろ主人公の方がかわいそうになってきました。かぶとが息子の頭部に合わせてサイズチェンジしたのを目の当たりにしてもなお、認めないんですね。天空の剣を装備できなくて駄々をこねたパパスだって、ここまで見苦しくはなかったですよきっと。駄々こねたか知らないですけど。鎧装備できなくても剣・盾・かぶとを装備できているんですからもう認めないといけないと思うのですが。
ここからよろいを手に入れるまではかなり時間があきますね。でもよろいを装備すれば、ちゃんと彼も息子が勇者であることを認めるでしょう。
ほぉら、大神殿ですよぉ。
天空の鎧が装備できたの?ああ、じゃあ本当に勇者だったんだね。すごいすごい。
でもお父さんの持っている王者のマントとドラゴンの杖の方が強いからな~~~。
だめだこいつ。
ずっと馬車に入れておこう。
(文・やなぎアキ)
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