ドラクエ4は、ドラクエで初めて仲間たちの人生にも焦点を当てた作品である。
そのため、勇者の冒険が始まる前に章仕立てで仲間たち、いわゆる導かれし者たちの冒険が描かれる。
一章は王宮の戦士、二章はおてんば姫とその従者たち、三章は武器商人、そして四章は美しき姉妹の物語だ。
踊り子マーニャ、占い師ミネア。
モンバーバラの人気美人姉妹には、ある旅の目的があった。
錬金術師である父が弟子であるバルザックに殺されてしまった。その仇を取るため、故郷を出て二人は旅をしているのだ。
主人公じゃん。
主人公の動機じゃん。
薄暗い過去を持つ主人公の薄暗い旅じゃん。
これで一本ゲーム作ってくれよ。
属性が多すぎる。姉妹の属性が多すぎる。
褐色の美人、踊り子と占い師、錬金術師の父を持つ、でも父殺されている、その復讐を果たす旅。
いや、もう一度言うがかっこよすぎる。
前の3章よりも明らかに濃密。そしてアンニュイ。
これはもう一本のゲームにしたときに、ちょっとずつ旅の目的を明かしていくストーリーにしてほしい。
最初はただただ何もわからず、美人姉妹が巡業しているだけ。そして話を進めると父親が殺された、父親は弟子に殺された、父親は錬金術師だった、と少しずつ明かされていくのだ。姉妹が持っている情報を少しずつプレイヤーに教えていくことで、最初はお気楽な姉とそれに手を焼く妹のただ土地を転々とする旅だと思っていたのが、復讐に囚われた悲しい旅であったことがわかるのだ。
超面白そう。
わかっていくにつれて、フィールドや戦闘時に流れる音楽に対して解釈が変わっていくに違いない。
ジプシーダンスとか、復讐を果たすための命を懸けた踊りじゃん……ってなるやつ。
マーニャの明るさとかミネアの苦労人なところとか、ちょっと笑える要素すらも、物語の暗さを際立たせることだろう。
しかも結末が敗走っていう。
重すぎる。
バッドエンド。
さらに途中出会う父の元弟子のオーリンも死ぬっていう(本当は死んでいないけど)。
バッドエンドすぎる。
復讐のために人生をささげたと言っても過言ではない姉妹の敗北!!これは非常に興奮辛いものがある。
さすがに姉妹の物語を一本のゲームにしたとき、バッドエンドだけを用意するのは酷すぎる。が、ぜひともこのバッドエンドも入れ込む必要があるだろう。一周目は必ずバッドエンドになり、二周目以降トゥルーエンドのための情報が開示されるとかそういう仕組みがほしい。ドラクエではなかなかない展開だけど、ほしい。
美しき姉妹の復讐劇。
今度4章をプレイすることがあれば、リメイクの仲間会話に頼らず暗い旅の中それでも明るくふるまう二人のやりとりをめいいっぱい妄想したい。
(文・リモート侍)
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