人間を憎み、世界を魔族のものにしようとたくらむ魔族の王、ピサロもといデスピサロ。
日々デスパレスで勇者を倒し人間をせん滅する計画を立てる彼とモンスターたちにも、クリスマスというのはやってくる。
しかしデスピサロ様、何やら悩んでいるご様子。
困ったな。
クリスマスはロザリーと過ごそうと思っていたのだが、ロザリーはピサロナイトとスライムと女子会をするらしいので、予定がなくなってしまったな。というか、ピサロナイト、あいつ雌だったのか。
思いがけず予定が空いたが、よく考えてみればデスパレスの皆も特に予定はないのだろうな。ちょうど土曜日だから一応休暇にはしておいたが、このままではみな暇な一日を過ごしてしまうかもしれん。ことによると、やることがないからと、休みなのにデスパレスに集まってしまうかもしれないな。
ふむ、たまには私自らが皆を労ってやるのもいいだろう。
よし、クリスマスパーティーを企画するぞ!
──
フッフッフッ(ご満悦顔)。できた、できたぞ、完璧なクリスマスパーティーが。
よし、あとは本番を想定した予行練習をするのみ。
まずは、モンスターたちだけで飲み食いをしてもらい、緊張をほぐしてもらおう。
ある程度場が盛り上がってきたら、私が登場する。
全身をキラキラさせた私自身が、さながらクリスマスツリーであるかのように、雰囲気はばっちりだな、フハハハ!
さぁ、皆の衆、だいぶ盛り上がってきたようだな……。
今夜は無礼講だ!私も真の姿を見せるとしよう!
進化の秘法!!
ババーーン!!ここまで進化の秘法をいつのまにかコントロールしている私に、皆は度肝を抜かれるはずだ!これこそがサプライズ!完璧な演出だ!
よし……ここで盛り上がりが最高潮になるはず。その流れのまま、つづいてはこれだな。
ビンゴ大会だ!
私自らが番号を読み上げてやろう!
え~と……6番だな。
いる?誰かビンゴした者、いる?リーチだったとしても手を上げて教えてほしい。
ちなみに最初にビンゴしたものには黄金の腕輪を与えるぞ。
まだいない?では次の玉行くぞ。
よし、ビンゴの予行練習もばっちりだな。
その後はいい感じにまた飲み食いを進めて……
当然私も部下たちにまじって飲み食いを進めよう。
そして!皆が落ち着いた雰囲気になったところで、一つ!私がじきじきに一発芸!
ごそごそごそごそ…………
よいしょっと
はい!
エビルプリースト!!!!
これはもう大爆笑間違いなし!
これで来年に向けて、皆で人間を滅ぼそうという結束が深まっていくな!
さぁ、あとは当日を待つのみだ!
~クリスマス当日のモンスターたち~
「デスピサロ様、きっとロザリー様と過ごすだろうし俺たちは俺たちで飲みに行こうぜ」
「そうだな、せっかくの休みだしな」
な、なぜ誰一人デスパレスにいないのだ(あんたが休暇にしたからや)。
くっ、こうなったら仕方がない!
おい!お前!
私もロザリーとの女子会に混ぜてもらえないだろうか。
「あ、はい、いいですよ」
デスピサロ様、ぼっちクリスマス、回避!!!
(文・やなぎアキ)
ちなみにゾーマ様もかつて同じことしています。