ラインハットを牛耳っていたモンスター、ニセ太后。
彼は死の間際、こんなことを言う。
「オレさまを殺さなければ、この国の王は世界の王になれたものを」
無理だろ。
ありとあらゆる面において無理だろ。
そもそもラインハットが破綻していた
ラインハットではニセ太后が高い税金をかけ、国民は物乞いをするほどに疲弊しきっていた。
これではいけない。
私腹を肥やし強い兵をいくら雇おうとも、国は国民ありきである。ネフェルタリ・コブラもこういっていた。「国とは人である」と。ビビもそんなようなことを言っていた。国とは人なのである。
国民がついてこなければ、国というのはそもそも機能しないのだ。
あのままニセ太后に国政を任せていれば、いずれラインハットから人はいなくなっていただろう。
のしかかる重税、日ごと行われる死刑、そんなところから逃げ出そうと人々は決起し夜逃げしてもおかしくない。
国民のいない国などない。そんな国をまともに納められない王が、世界の王などになれるだろうか。
兵の管理も甘い
ラインハットでは住民は辛い思いをしていたが、それならば兵たちは楽な生活を送っていたか、と言えばそういうわけでもないようである。あくまでもニセ太后に雇われた魔物同然の兵たちだけであり、人間の兵は肩身の狭い思いをしていたようだ。
そんな兵たちの管理、甘々である。
なんせ、アルカパに逃げられているくらいである。
関所まであるのに。
関所があるのに、アルカパの元兵士がなぜ逃げられらのか。しかも元兵士の格好を見るに、変装するでもなく普通に兵の姿のまま逃げ出しているのである。となると、意外とあの関所の兵士、トムは出るものは拒まなかったのかもしれない。
入ろうとするときは、ニセ太后の許可が必要なわけだが、出るのは別にノーパスだったのではないか。いや、厳密にはこれも許可が必要だったのかもしれないが、それについては見逃したのかもしれない。
トムもラインハットには思うところがあり、なるべく人々をラインハットに近づけたくない、しかし逃げる者がいれば逃がしてやりたいという考えがあったのかもしれない。
逃げたい者であれば兵でも逃がすそんな穴がある国が、国力で一位になれるわけがない。
ニセ太后は関所の兵こそ、信頼の置けるものを置くべきだったのだ。トムは古株だからこそラインハットという国に疑問を挟んでもおかしくないというのに。人員配置がガバガバデアル。
ニセ太后が弱い
結局これ。
世界はそもそも光の教団の魔の手がじわじわと伸びており、あのまま主人公たちが戦わなければ教団の力はラインハットにも及んでいただろう。
そのとき、ニセ太后はラインハットの王を世界の王にするために立ち向かえるだろうか。
無理。
無理すぎる。
せいぜいわらいぶくろとがいこつへいしか呼べないニセ太后と、ベギラゴンのラマダ・輝く息のイブールとでは実力があまりにも雲泥の差。かえんのいき?そよかぜかな?
よくそんな実力で世界の王を目指したな。正直吹けば飛ぶ程度の力でしかない。なんならニセ太后戦、厄介なのはニセ太后そのものよりもわらいぶくろのメダパニとかラリホーだし。ニセ太后そのものは大したものではない。
なんであんな大それたことが言えたのか。
あ~、恥ずかしい恥ずかしい。
ウルノーガのこと見習って来世で頑張ってください。
(文・やなぎアキ)
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