ドラクエ6は語られていない物語が多い。
主人公はどうやってハッサンやミレーユと出会ったのか。あの黄金の竜はなんだったのか。テリーとミレーユの過去。
そして、最初にムドーに敗れた後のミレーユのその後だ。
主人公は夢の世界のライフコッドに飛ばされ、妹ターニアの声掛けで目を覚ます。
ハッサンはどこで目覚めたかはわからないが、大工であった自分のことは忘れ旅の武闘家になる。
ミレーユは?
ミレーユも夢の世界に飛ばされたのだろうか。
しかしミレーユと出会うのは下の現実世界だ。そしてすでにミレーユは実体を取り戻している。
一体主人公たちと合流するまでの間ミレーユは何をしていたのだろう。
夢の世界のどこに飛ばされたのか
まず、ムドーに夢の世界に飛ばされた際、彼女は一体どこに飛ばされたのだろうか。これについてはハッサンもどこに飛ばされたのかはわからない。
主人公の場合、寝ていたベッドから落ちて目が覚める。つまり夢の世界にふさわしく、あれは夢だったのだという体で飛ばされてしまうわけだ。
ミレーユも、どこかのベッドで目が覚めたのだろうか。夢の世界での家族がいたのだろうか。それともハッサンと同じ、さすらいの旅人として目が覚めたのか。
そもそも夢の世界に飛ばされた主人公たちは、なりたい自分になっていたが彼女の場合は?
ミレーユの夢は一体何?
主人公は夢の世界に飛ばされた際、彼の失った妹を望む気持ちとターニアの兄が欲しいという気持ちがかけ合わさりライフコッドの青年という存在になった。
ハッサンも、大工家業を継ぎたくない武闘家になりたいという夢があり、旅の武闘家として夢の世界で目覚める。
ではミレーユが望む姿は一体なんだったのだろうか。ミレーユは過去、人買いの手によってガンディーノ王に囚われていた。そこを必死に逃げ出し、弟と生き別れになりながら旅を続けたのだろう。そのさなか、主人公たちと出会い共にムドーに挑むことになる。そんなミレーユが夢の世界でどんな姿になるのか?
これについてミレーユは語ろうとはしない。なぜ教えてくれないのか。夢の世界であっても、彼女にとってそれは誰にも言いたくない姿だったのだろうか。
彼女は夢の世界に飛ばされた後、主人公たちよりも早く下の世界で実体を取り戻している。さっさと旅に出る機会があったのだろう。それを考えると、少なくとも主人公のように一つ所で家族と共に暮らす世界ではなかったのだろう。弟と暮らす幸せな姉という夢ではなかったのかもしれない。
実体はどうやって探した?
夢の世界で目が覚めたミレーユは、主人公たちと同じように大穴から幻の大地に降り立ち実体を探す旅をしたと考えられる。
しかし、主人公たちが目覚めてサンマリーノで再び集結するまでの期間を考えると、あまり現実的ではない。主人公もハッサンも長い期間をかけて実体と出会うことが出来た。ミレーユにその時間があっただろうか?
しかし現に彼女は実体を取り戻している。
これはグランマーズの力が大きいと思われる。彼女が下の世界で透明になってしまい途方に暮れているときに、グランマーズに出会っている。そして、グランマーズは夢占い師だ。主人公の旅でも、何か困りごとがあると助言をしてくれたり、彼らがムドーを倒したときもいち早くそれを察知しレイドックに先回りしていた。そんな彼女の力を使えば、ミレーユの実体も簡単に探し出せるのではないだろうか。
ミレーユの加入レベルを考えると、一人で過酷な旅をしていたとも思えない(テリーの加入時のレベルが23なことをいじるんじゃあないよ)。グランマーズの夢占いの力を使って、さっさっさと見つけ出したのだろう。
そういえば、主人公とハッサンは自分を取り戻したとき、技を一つ覚えたがミレーユはそういうのがなかったのだろうか。彼女が最初から覚えているのはヒャドとスカラとホイミ。しょ、しょぼすぎる……。
彼女は、他の二人よりも夢と現実が乖離していた時間があまりにも短かったため、主人公とは別で特殊なのかもしれない。それか、一回目ムドーに挑んだときは彼女だけかなりレベルが低かった、とか……。
情報があまりにも少なすぎる。
この辺のことをDS版リメイクでもっと説明をしてほしかった。せめて夢の世界に、ミレーユと一緒に過ごし多っぽい意味深な老人がいるとか……。そういうのがあってもよかったじゃないか。
いやしかし、描かれないことがあるからこそミレーユという女性には謎めいた魅力があるのだろう。彼女はずっと「なぞのじょせい」なのである。
(文・リモート侍)
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