ドラクエ2のラスボス、破壊神シドー。
彼は破壊を司る神。破壊こそがすべて。
そんな彼は、ファンの間ではおばかさんとして通っていた。
それは、彼は破壊神だから破壊しかしなくてどうせ頭が良くないんだろう、という憶測によるものだけではない。
彼の戦闘時の行動によるものがある。ファミコン版のシドーがベホマが使えるのは有名だが、なんとそのベホマ、自分がダメージを食らってなくても使うのだ。
アホである。
強力な技をせっかく持っていても、それを活かせないのである。オルテガもびっくり。
そんなおバカ行動と、さらには仰々しく登場する割に一言も喋らずいきなり戦って倒されて終わるという点から、神とはいえども知能、知性はあまりないと思われていた。
しかし、ドラクエビルダーズ2にて少年シドーが登場し、すこし風向きは変わる。
ビルダーである主人公とともに行動する彼は、無邪気でありながらも周囲の物事を吸収してものすごいスピードで学習していくという、破壊神シドーらしからぬ学習意欲を見せてくれた。
シドーの化身であるにも関わらずだ。
まぁそうは言っても、少年シドーもわりと頭の悪いキャラクターである。粗雑で世間知らずという面からそう感じさせるだけで、実際に頭が悪いわけではないだろうが、知性は感じさせない。
そして、彼が言葉を持つのは、ハーゴンがそうさせたからだろうと考えられた。ビルダーとの接触を図るための存在である少年シドーは、コミュニケーションのために言葉を与えられたのだろうと推測できる。
そもそも、先程化身と書いたが厳密にはそうではない。最後には少年シドーと破壊神シドーは別物として、互いに対決する姿も描かれている。破壊神シドーは別にいるのだ。
なので、やっぱり破壊神シドーそのものは従来のイメージ通りだと思い続けた。
しかし、物語の最終局面にて意外なことが起きる。
しゃ
喋ったァァァァァァァァ!!!!
ここで破壊神シドーが喋ったことに度肝を抜いたプレイヤーは私だけではないはず。
お前、喋れたんか!?とびっくりしたはず。
そしてさらなる驚きなのだが
あまりにも神の喋り方。
完全に高みからの喋りである。高みって言ってもそんじゃそこらの高みではない。
そこからの必然的な感情。
そう。
知能めっちゃ高いじゃん…………。
むしろなんでお前、ベホマの判断アホなんだよ……。
あれか?破壊神だから治癒であるベホマはうまく馴染んでいないんか?ならなんで技として習得はできたんだ?ファミコンのころはHP高くすることができなかったため、長期戦にするためベホマを実装した、とかいうシステム的な話はいらんのよ。なんでお前ベホマなんか使えるんだ?
そのべしゃりで、HP減ってないのにベホマ唱えるのはもうこっちが赤面するのよ。共感性羞恥発動しちゃうのよ。
なんでそんな仰々しいべしゃりができるのによ。
てかじゃあなんでロトの子孫と戦うときは無言だったんだよ。ファミコンソフトの容量の問題とかそういうのはいいのよ。
もうあんなべしゃり見せられたらね、ハーゴンにいきなり呼び出されて、戸惑ってしゃべる暇も与えられないまま王子たちに倒されたみたいに見えちゃうのよ。
え?あ?何?急に襲いかかってくるじゃんこいつら、え、待って、どうしよう、え?ま、こわ、べ、ベホマ!とか心中でなってたのかなとか思っちゃうじゃん。
呼び出されて実力も発揮しきれず倒されてるじゃん。
エスタークじゃん。それはもうエスタークじゃん。
知能高くても寝起きはアホなんじゃん。
本当にビルダーズ2はシドーのイメージを変えてくれた。
シドーが喋るなんて、ビルダーズ2をやるまで考えたこともなかったよ。
本当は頭いいのに、およそ30年おバカさんのレッテルを貼られてたとは。
神の真の姿を人が知るのは難しいということだ……。
(文・やなぎアキ)
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