出会った瞬間、ぞくっとしてしまうモンスター代表といえばばくだんいわ。急いで倒したいと思いながらも、中途半端にダメージを与えることでメガンテを唱えられてしまうのではないかとびくびくしてしまう。
メガザルロックは、ばくだんいわほど驚異的ではないが厄介な存在には変わりない。対した攻撃はしてこないからと倒すのを後回しにしていると、メガザルを使ってすべてを元通りにしてくる。攻撃力の高い敵と組もうものなら面倒極まりない。特にドラクエ8にて、モンスターバトルロードのランクAにて、こいつが編成されていたチームは厄介だった。
そして、同じ系統のモンスターであるスマイルロック。
ドラクエ7で彼が登場したことにより、めでたく青・赤・黄の岩モンスターがそろった。
攻撃超特化のばくだんいわ、回復超特化のメガザルロック、ではスマイルロックは一体なんだ!
ただほほえむだけ~~~!!!!
なーーーーーーんにもない!!!
だたほほえむだけ!!
いや、仕方がない。ばくだんいわはメガンテで爆発をするというまさしく爆弾する岩であり、メガザルロックはそのままメガザルをするロック(岩)である。
となれば、スマイルロックだって、スマイルをするロックであろう。それで終わりである。
しかし、これまであの形のモンスターにさんざん苦しめられてきたものとしては、最初はスマイルロックに身構えてしまっていた。
一体なんだ!?一体何をしてくるんだこいつぁ!?
スマイルロックは様子をみている~~~~!!!!
そして笑いながら攻撃をしてくる~~~~!!!!
それだけ~~~~~~!!!!
しょーもね~~~~~!!!!
笑いながら攻撃をしてくるというのは、あの顔なわけだから不気味ではある。しかしメガンテやメガザルに比べれば可愛いものだ。笑いながら攻撃だなんてかわいいじゃないか。じゃれてきているのかな?はっはっは。
そもそもなぜこのようなモンスターが生まれてしまったのか。あの岩のモンスターはすべからく驚異的であるというセオリー(言っても2種類だけど)が覆ってしまった。
あのような劣化版を作らなければいけなかった魔王の心境やいかに。
ここはやはり、魔王軍側の心境になってみるのがいい。
たとえば、魔王軍にはモンスターを生み出す機関「モンスター生成研究所」のようなものがあり、そこで日夜モンスターを生み出しているとする。
時には魔王から「もっと強いモンスターを生み出せ、今のままでは勇者たちがすぐここにたどり着いてしまう」と要件を提示されることもあるかもしれない。そうやって新しいモンスターを作っているのだ。
そして、ある日言われる。
「勇者どもをびびらせるモンスターを作ってくれ」と。「勇者どもが恐れをなして逃げ出してしまうような」。
びびらせることで経験値を得らせない作戦だ。
果たしてそんな作戦が名案なのかは置いておいて、研究所の皆さんは命令されたらそれを実行しなければいけない。
しかし!!ここで問題が立ちふさがる!!!
そう!!!
圧倒的予算不足!!!!
魔王軍の予算というのは、主に戦闘指揮を取っている花形部署に取られて行ってしまう!モンスター生成研究所は、少ない予算でなんとかやりくりしている現状!
そんな中で「勇者がビビる新しいモンスター」を作らなければいけない!
そこで研究員は考えた。
勇者がビビるモンスターを模した新しいモンスター作れば、コスト削減につながるのでは?と。
そして勇者がビビるモンスターの中でも、形が単純なため、さらなるコスト削減が望めるモンスターといえば?
ばくだんいわである。
ばくだんいわ、さらにはメガザルロックは勇者からしてみるとかなりいやらしいモンスターだ。
つまり同じ見た目のモンスターを作れば、反射的に勇者はびびるはず!
体の色は一色のため、その色を変えるだけで別モンスターになるという、究極の節約モンスターだ。
しかし、それだけコストを削減したにもかかわらず、それでも強力な攻撃を搭載できるような予算はすでに残っていなかった。
そのため、様子を見るか、その不気味な笑顔のまま攻撃をするくらいしか搭載できなかったのだ。
こうして生まれた新しいモンスターには名前をつけなければならぬ。
しかし、ばくだんいわやメガザルロックのように特殊な攻撃を持っているわけではない……。
困った研究員は、とりあえず見た目の特徴である「スマイル」をそのまま名前につけて、スマイルロックと命名した。
部下に「いやそれを言ったら、ばくだんいわもメガザルロックもスマイルロックじゃないすかw」と言われたが、聞こえないふりをした。
みたいな悲しい裏話の末に、スマイルロックは生まれたのではなかろうか!!
スマイルロックは、コストを究極に抑えたモンスターだったのだ!
結果、スマイルロックは好戦的ではないという致命的な欠陥を抱えたモンスターになってしまった。
かわいそうに。
(文・やなぎアキ)
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