このノートに名前を書かれたものは死ぬ。
これがデスノートである。
名前だけの場合、40秒後に心臓麻痺で死ぬことになる。死の状況はわりと細かく指定ができる。名前を書かれてしまってはその死の運命から逃れることはできない。
しかし、死なせるには、相手の顔と本名がわかっていなければいけない。
偽名ではいけないのだ。
はい、ここで疑問です。
ピサロはピサロが本名である。
デスピサロというのは、あくまで自分でつけた名前だ。ロザリーが「今ではデスピサロと名乗り」と言っているので、そうに違いない。つまりデスピサロは本名ではない。
だが、勇者一行はロザリーに出会うまではピサロのことはデスピサロであるという認識でいる。既プレイヤーならデスピサロはピサロであるため、なんとなくデスピサロはピサロだろとすぐ回答を出せるが、正直初見だと、まさか元々はピサロという名の魔族の青年だろうとは思わないはず。
つまり全員、デスピサロはデスピサロが本名であると思っているのだ。
ここで例えば、勇者たちがデスノートを拾ったとしよう。死神リュークが暇つぶしに人間界に落としたデスノートだ。いや、もしかしたらマスタードラゴンが暇つぶしに人間界に落としたのかもしれない。あいつならやりかねん。
勇者は村を滅ぼしたデスピサロを絶対に倒したいという気持ちで旅をしている。むろん仲間たちもそうだ(約一人を除く)。
ならばこのノートにデスピサロの名前を書くのが道理だろう。
しかし、仲間たちはデスピサロの名を耳にしつつも、実際に姿を見た者は一人もいない。
否!
勇者だけは、村を訪れた一人の怪しげな詩人を目にしている!そいつこそがデスピサロだ!
勇者がそこに気づき、村に来ていたあの詩人の顔を思い浮かべながらデスピサロとノートに書く!
これで、世界に平和が!
いや、どうなのか?
先ほども言ったようにデスピサロは本名ではないはず。つまりノートにデスピサロと書いたところで、ピサロは死なない?
そういうことだろうか。
しかしなにか釈然としない。デスピサロじゃん、だってあいつ。
じゃあまぁ、この話は一旦置いておいて、デスピサロが進化の秘法を使ってエスターク以上の生物になったあの瞬間、彼の本名は何になるのだろうか。
究極進化した彼は、もうピサロではないのか。あの瞬間、ピサロの本名はデスピサロに更新されるのか。
最終決戦を前に、ノートにピサロと書いてもやはり彼は死なないのだろうか。
そして、リメイク版の第6章で元の姿に戻った彼の本名は、ピサロに戻るのか……?
デスノートも、こんな風に名前がほいぽい変わるやつがいることは想定していなかっただろう。
とはいえ、時期さえ間違えなければデスノートでピサロを倒すことは可能だ。一番確実なタイミングはやはり、イムルで夢を見た直後だろう。たとえ夢で見た姿ではノートに効力がなくとも、勇者は実際に姿を見ているので何の問題もない。
そういえば、デスノートにモンスターの名前を書いてもやはりそれは死なないのだろうか。スライム、というのは種族の名前であって個人の名前ではない。たとえば、デスノートに人間と書いても意味がないのと同じだろう。
しかしモンスターそれぞれの名前など知らない。死神の目がなければ、デスノートはモンスター相手には何の役にも立たないのだろう。勇者たち自身の手で倒すしかない。
となると、自分の名前を持っていて、それを勇者たちに知られてしまっているデスピサロ(ピサロ)が一番ノートに対しては弱いことになる。
やっぱり名前はほいほい相手に知られるべきではないな。
(文・リモート侍)
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