ドラクエナンバリング作品の中で、影が薄いラスボスとして長年君臨しているミルドラースさん。
ストーリー上の存在感もさることながら、戦闘面でもあまり覚えていなかったりする。
SFC版もPS2版もDS版もクリアしたというのに、いまだにふと勘違いしてしまう。
あ、こいつ変身を一回しかしないんだ!!
ざっこいなぁ!こいつざっこ!ザーボンさんかよ!
私はあと一回変身を残していますって言われても、「一回かぁ」しか思わないよ!いやすごいんだけどさ。戦闘力53万でしかも変身を一回残している時点ですごいんだけどさ。十分絶望感あるんだけど。それじゃザーボンさんと同じなのよ。
いや、ナンバリング作品の中には一回しか変身をしないラスボスは多々いる。なので一回しか変身をしなことを取って弱いと決めつけるのはいかがなものか。中には、第一形態と最終形態の戦闘を続けて行わずインターバルを設けている作品だってある。
しかし、ドラクエ4からドラクエ7までは、なんとなく多段変身が主であったような気がしてしまう。
かのデスピサロは、七段階変形まで行った!デスタムーアも第三形態まであるし、オルゴデミーラに至っては二回も戦うことになる!
そこにきて!ミルドラースは!一回しか変身をしない!
デスピサロの怒涛の変身からの、ミルドラースの一回変身!どうしてなのか!
七段階変形をしろとは言わないが、二回変身をしてくれ!
こいつもきっとたくさん変身するに違いない!倒したと思っても油断するな!という展開が、まったくできないではないか!
この頃のドラクエは絶対たくさん変身するって思ってしまうんだ!
おかげさまで、なぜだかミルドラースには第一形態と最終形態の間の第二形態があるような気がしてしまう。
そう、腕を組んだ老人の姿が、みるみるうちに筋骨隆々の化け物の姿に変わる……老人であったことなど感じさせないような姿に…………
それはデスタムーアだ。
大体いつも、デスタムーアの第二形態と勘違いしてしまう。あれはあれで影の薄い形態のためだろう。
ミルドラースの第一形態はおじいちゃんだ、最終形態はデブっとしていてけっこう気持ち悪い、では間はどんな姿だったかな?などという答えのない問に頭をひねらすこともしばしば。ただただ無駄な時間である。だってそんなものないのだから。
しかし、何度同じ間違いを犯しても、彼の第二形態を考えてしまう。
これでは影が薄いと言われても仕方がない。中間にあたる形態というのはそもそもが影が薄いとはいえ、それがまるっきりないとなれば話が違う!
ああ、ミルドラースよ。なぜ一回しか変身ができないくせに、神をも超越したと言えてしまうのか。長い年月をかけたらしいが、もう少し年月をかけて変身能力を磨いておくべきではなかったのか。それとも思ったよりも早く主人公たちが来てしまったために、そこまで準備ができなかったのか。それなら魔界の扉を開けるのを一旦後回しにして、自己研鑽に時間を回すべきだったのではないか。そんなだから、部下たちの影に隠れてしまうのだ。オルゴデミーラは(ドロドロだったけど)たくさん変身していたぞ。あれが神をも超越するということではないのか。
大体、あの老人形態から、いきなり巨体に変身するのはかなり体に負荷がかかるのではなかろうか。だからこそデスピサロはちょっとずつ変身をしていたのでは?
やっぱりもう一回変身を挟んで、体を徐々に慣らしていくべきだったと思う。
ミルドラース、本当にいいとこないな!お前は!
一つ擁護するとすれば、ドラクエ5はラストダンジョンの途中でゲマ戦という大きなボス戦がある。その消耗を鑑みてのミルドラース一回しか変身しない、という……
いや、ゲマ戦があるのはリメイク版からであり、SFC版時代にはない。さらに、ゲマと戦う場所の近くには回復スポットがあるため、消耗もくそもない。
擁護の余地、なかった。
やはりただただ一回しか変身しないラスボスなのだ、あいつは。
(文・やなぎアキ)
関連記事