みんなー!オラにMPを分けてくれー!
ドラクエ4から登場した(基本的には)勇者専用の呪文だ。
戦闘に参加しているメンバーからもMPをもらうことによって使うことができるデイン系最強の呪文で、敵単体に大ダメージを与えることができる。
仲間の力を借りて特大ダメージを浴びせる呪文、文句なしにかっこいい。ぜひともラストバトルの最後の一撃に使いたいところだ。
こんなカッコいい呪文、さぞかし皆愛用していることだろう。
使ったことないわ。
一回も使ったことない。
ボス戦でも雑魚戦でも使ったことない。
使うタイミングが皆無。
使うタイミングが皆無どころか、使わない方がいいみたいなところある。
なんせ、戦闘に参加しているパーティーメンバー全員のMPが必要な上に、そのターンはミナデインしかできないのである。
いつ使えと?
ドラクエ4など、恐らくほとんどの人がアリーナかライアンをメインアタッカーとしてメインメンバーに据えているだろう。
しかしこの二人はどれだけレベルが上がってもMPは0のまま。
そのため大抵はミナデインを使えるようなパーティー編成ではない。もうこの時点でいつ使うのかという感じである。
しかもミナデインを使うと他のメンバーが動けないので、たとえ一撃の最大ダメージがでかかろうが、アリーナのキラーピアスで会心狙った方が他の人は別の行動ができるし旨味があるというものだ。
まぁたしかに元気玉よろしくみんなが手をあげて魔法力を集めて、それで放つ技なのであれば(SFC版ドラクエ6の公式ガイドブックのイラストは完全にこれ)、1ターンみんながミナデインにかかりきりになってしまうのもわかる。
だが、この仕様のせいでドラクエ4どころか後続の作品でもミナデインを使う機会にはめぐまれない。
ドラクエ5では主人公の息子がミナデインを使うことができるが、ドラクエ4同様いつ使うのん?である。
そもそもドラクエ5って通常攻撃の方が使い勝手よくない?と思ったり思わなかったり。息子はヒーラーとしても優秀なので、ミナデインに使うターンなどない。
しかし、やはり全員が協力して放つ特大の一撃というのはロマンがあるからか、ドラクエ6、ドラクエ7とまだまだ続けて登場する。
しかし、ドラクエ6、7などさらにミナデインを使う機会などないだろう。せっかくすべてのキャラがMPを必ず持っているというのに(キー……ファ?)。
職業システムにより誰もがミナデインを使うことはできるが、そもそもこの2作品は大特技インフレ時代。攻撃呪文にそもそもスポットライトが当たることが少ない(やまびこのぼうしでもない限り)。
特技をみんなで使えば、ミナデインのダメージは簡単に越せる、しかもノーコストでだ。
ドラクエ7など、MPを20消費してしまうが500ダメージ程与えられるアルテマソードが登場してしまった。本当にミナディンを使う意味がない。誰かが500ダメージを与えている隙にやまびこのぼうしでベホマラーを唱え全体特大回復ができるのがドラクエ7だ。
そもそも、誰でも使えるようになったとはいえ、勇者をマスターしないと覚えられないため、それまでの道のりでいくらでも強力な特技を覚えているというのが現実。ますますいつ使うのか?である。
このように、何かしらの縛りプレイをしているか、どうしてもミナデインを使いたいんだ!という強い意思を持っていない限りは出番がないであろうミナデイン。
しかし覚えたときの達成感というのは半端ない。
勇者最強の呪文を覚えたぞ!私はもう名実ともに立派な勇者だ!という気分になる。
そのため、ドラクエ8からは登場しなくなってしまったのは切ない。
そして満を持してれんけい技としてドラクエ11で復活を果たしたミナデイン。
れんけい技であれば、他のメンバーは通常通り行動ができる!幾年も経て、ミナデイン最大のデメリットを克服したわけだ!
戦闘メンバー4人全員がゾーン状態でなければいけない、攻撃魔力に依存するので攻撃魔力が高くないメンバーがいるとダメージ量が下がるという問題はあるが、これまでに比べたら十分使うに値するだろう。ただ、4人もゾーン状態ならば他にも有用なれんけい技がいくつもあるというのも事実だが。
他にも大々的なふれこみの割には使わない呪文というのはある(マジャスティスとかマナスティスとかマジャスティスとか)。
そう考えると、最強の呪文として登場し実用性もしっかりあるマダンテというのは、MPすべて使ったとしてもおつりがくるくらいには使い勝手が良かったと思う。
なるほど、呪文には使い勝手が大事なのだな。
(文・やなぎアキ)
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