めっちゃ印象深い。こいつ。
ドラクエ11の六軍王の中でもなかなかトップレベルに印象深い。
六軍王は全部で6人。
デルカダールを占拠していた屍騎軍王ゾルデ。こいつは最後の砦イベントのボスということで好待遇のはずだが、なんか印象が薄い。名前、いつも調べないとわからない。
海を破壊つくそうとする覇海軍王ジャコラ。3回も登場するが、最終的にはクレイモランに行く道すがらの戦闘というイベント色薄い倒され方のため印象が薄い。
天空魔城の番人を務める邪竜軍王ガリンガ。武人らしく主人公たちを強者とたたえるその姿はドラクエ6のデュランを彷彿とさせる。が、役割が番人オンリーでなんか印象が薄い。11Sでは追加エピソードにて出番が増えたので、多少か印象に残るようにはなったが。
ここまでが印象薄い三軍王。
鉄鬼軍王キラゴルドは言わずもがな、正体がカミュの妹ということで印象どころの話ではない。でも何王なのかまでは覚えるのがなかなか大変。
最後は魔軍司令ホメロス。これはもう何も言うまい。
と、印象薄めな3人ともはやメインキャラの2人。
そしてそして、妖魔軍王ブギーである。
メインキャラ二人に存在感で負けてしまうのは仕方ないにしても、残りの4人の中では圧倒的に存在感があった。追加エピソードもないドラクエ11であっても、強烈なインパクトを残してくれた。
まず見た目のインパクト。
彼は雑魚敵サタンフーラーなどと同じグラフィック(ボス用の装飾は多少されている)であるが、このグラフィックを見て雑魚敵を思いつくことはまずない。圧倒的なブギー感。名前と見た目がマッチしすぎている。
あの腹の出た感じがすごくいい。ドラクエ5のミルドラースや、ドラクエ7のアントリア、ドラクエ8のラプソーンを彷彿とさせるあの腹。名だたる面々とタイマン張れるほどのあの腹はすごい。
だらしなく舌を出しているさまは、あまりにも威厳を感じない。他の6軍王はみんないかつかったりでかかったりなのに、明らかに場違いなその見た目……。
周りに浮いている玉も、浮いているのになんとなくジャグリング感があるのはブギーのなせるわざだ。わざなのか?
さらに特筆すべきは戦闘面。
まずずっこけモンスターというお遊びBGMなのがすごい。六軍王ぞ?ブギー、六軍王ぞ?かんっぜんになめられている。それともあれなのだろうか、「ボクちんの戦闘BGMはずっこけモンスターで頼むじょ!普通のボスBGMなんてボクちんには似合わないもんね~」とか言って、裏でカセットテープ(鬼古い)をわざわざ流してもらっているのだろうか。たしかにBGMが違うだけで印象というのは変わるのだ。
そんなBGMだからか最初はなめてかかってしまうが、その強さ、六軍王の名に恥じぬ!
超さそうおどりや、魅了させてくる第三の目、MPをごっそり持っていくギガマホトラと、これまた特徴的な戦い方である。魅了にややよわいロウや、ついついおどっちゃうシルビア、アタッカーとして特技を使いたいのにMPが心もとないグレイグ。こちらのパーティー編成と弱点を知り尽くしているのか、というほどのやらしい攻撃には頭が下がる思いである。
六軍王の中でもかなり印象に残るバトルだった。
もちろんイベントシーンでもこいつは色々やってくれる。
そもそもグロッタを魔物だらけにし、名物だった仮面武闘会をつぶしてカジノをまるっと作り出したその手腕。その手腕よ。ネタキャラ扱いされ、一部部下の魔物たちからも良く思われていないブギーだが、妖魔軍王の名に恥じぬ働きを見せている。すげぇ、すげぇよ。他の六軍王も派手なことをやっているけど、見た目のインパクトがすげぇよ。カジノだもんよ。「あれ?今回カジノってソルティコにしかないってこと?」となっていたプレイヤーに、「そう来たか~~~」と思わせたんだもんよ。でっかいイベントだった仮面武闘会をまるまるなくしちゃうのすごいよブギーさんんんんん。
しかも、我らがマルティナを操っちゃうっていうね。ドラクエ8では暗黒神の力でもってゼシカを操ったが、ブギーは暗黒神でも魔王でもないのに同じことができちゃうのよん?長けてる、長けてるわ~。
そんなにすごいのだが、最終的には正気に戻ったマルティナにきっつ~いお仕置きをされてしまうのがまたブギーを思い出深いものにしてくれている。ネタキャラだが、犯した罪は重いのでちゃんと退治されるわけだ。
さらにドラクエ11Sの追加エピソードでは意外な一面も見られる。追加エピソードのおかげでよくわからない株をあげていそうなのである。
なんと、ブギーは意外にもけっこう純情な男なのだ。
マルティナに出会う前はメガモリーヌという筋肉が素敵な女性と付き合っていたわけだが、なんと!手をつなぐだけでも10年の月日をかけちゃうのだ!なんだそれ、かわいいなぁ。さらには交際を魔王ウルノーガに認めてもらうというのがお付き合いの条件らしいのだ。そんな、娘さんを僕にくださいどころの騒ぎではないぞ。お付き合いの段階でそこまでするのか……。ウルノーガも困っちゃうだろうが、それでも六軍王の地位に置いておきたいと思わせるブギーという解釈もできる。
まぁその後マルティナに一目ぼれしちゃうしメガモリーヌが倒されてもなんの言及もないという何とも言えない展開もあるが。
マルティナに一目ぼれしたのも、彼女がセクシーで美人だったからではなく、キラーパンサーのような毛並みとギガンテスのような筋肉の持ち主だったからである。よい趣味をお持ちで。
まさかブギーについてこんなに語れるとは思わなかったが、出ること出ることブギーへの賛辞。
ブギーはすごいんだじょ!
(文・やなぎアキ)
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