ドラクエ5で登場し、ドラクエ6、7と続いて活躍してくれた乗り物に、まほうのじゅうたんがある。
アラジンで出てくるそれを同じように、宙を浮く乗り物だ。
大抵ストーリーの中盤くらいで入手することができ、徒歩や船ではいくことができなかった場所に行くことができるようになる。
魔物とエンカウントしないという点で、フィールドを快適に移動できる最高のアイテムだ。
これがあることによって船の出番が大幅に減る。フィールドを移動するときはとりあえず魔法のじゅうたんを使うのが定石だ。
代わりに低い場所しか飛ぶことができず、森や山の上を移動することはできない。その場合はじゅうたんから降りて徒歩移動するしかなくなる。
すっかり定番の乗り物になったかと思われた魔法のじゅうたん。
しかしドラクエ8からは姿を消す。
ドラクエ10には登場するが、それはまほうのじゅうたんそのものではなく、ドルボードが姿を変えたもの。これまでのまほうのじゅうたんの意とは異なるだろう。
そして、今後恐らく、ドラクエ5~7の仕様のまほうのじゅうたんは登場しないであろうことが予見される。
理由は二つ。
一つはグラフィックの向上だ。
グラフィックの向上から、草原とか山とかの区別がつきにくくなった
崖を超えられないとかはあると思うが、森程度だったらじゅうたんでも行けるんじゃない?という感じがある。
たしかに、ドット絵だったころは木々が密集して通れないよね~と納得できたが、グラフィックの向上により、木々の間を縫っていけそうじゃない?と冷静に考えるとわかる。
山にしたって、徒歩で移動できるならば急に高い山があるわけではなくて傾斜になっているわけだ。え?行けそうじゃない?という感じがしてしまう。
そしてそこを行けてしまうと、それはもう違う。魔法のじゅうたんではない。
魔法のじゅうたんに何かしらの矛盾が生じてしまう。
いや、魔法のじゅうたんには飛ぶことが可能な高度が設定されているのかもしれないが。だとしても何か違和感が生じてしまう。
もう一つはシンボルエンカウントになったことがあげられるだろう。
なぜまほうのじゅうたんに乗ると魔物とエンカウントしないのかだが、浮くことによってモンスターが主人公たちに届かなくなり、エンカウントしなくなるのだと思われる。しかしシンボルエンカウントになるとそれは厄介だ。
スライム程度であれば多少浮く程度でエンカウントしなくなるのだろうが、背の高いモンスターだとなかなかに難しい。ギガンテス(ギガンテスがフィールドにいるかどうかは別として)くらいの大きさのモンスターにもエンカウントしないとなると、相当な高度を滑空していることになる。
相当な高さを滑空して、この問題を解決すると矛盾が生じる。
森、超えられるやん、そんな高さ飛ぶなら、と。
それこそドラクエ10のドルボードのように、スピードアップをはかるための乗り物だと割り切ってしまえば、いっそエンカウントをしてもいいのかもしれない。しかしそれはまほうのじゅうたんである意味があるのか?ドラクエ11同様、馬でよくないか?
そもそもシンボルエンカウントであれば、うまくモンスターにぶつかれないように動けばまったくエンカウントせずフィールド移動することが可能なのだ。
もはや、乗ることによってエンカウントしないという利点は必要ないのかもしれない。
そのため、空を飛ぶことができるとなると、もうよほどの高度(ラーミアとか)でないと今のドラクエでは意味がないのだろう。
ああしかし、ドラクエ5から登場し6、7と活躍しまくって、すっかり船に続く常連となったかぁ?と思われた魔法のじゅうたんが、今後はもう現れないのかと思うと悲しい。
ファンタジックな世界観を貫く実にドラクエらしい乗り物だったというのに。
唯一残った利点は、海の上や川の上も移動できるという点だろうか。
ああ、以前のようにまほうのじゅうたんにもっと活躍の場をください。
(文・やなぎアキ)
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