これまで苦楽を共にしてきた仲間との別れって辛いですよね。
え、ずっと一緒だと思っていたのに!お別れなの?という、唐突な別れもそうですし、薄々勘づいてはいたけど信じたくなかったんだ……という別れも辛い。
そんな別れがドラクエにもあります。
一番すぐ思いつくのはドラクエ6のバーバラでしょう。
エンディングを迎え、世界各地を巡りながら仲間たちが故郷に帰っていく。そして最後に残ったバーバラと共に主人公は自身の本当の家に帰る。
両親にバーバラのことを茶化されながらも悪い気はしないななんて思いながら平和を謳歌する……。
そして突然切り出される別れ。あまりにも急で、別れの言葉を十分に言う暇もなく消えてしまうバーバラ。
ハッピーエンドのはずなのに、ほろ苦く切ない気持ちを、そして未来への希望を残しドラクエ6は幕を閉じます。
とてもつらかったです。
やはり仲間への思い入れというのは強いですから、別れ自体がすでに寂しいのに、唐突でしかも永遠のとなると……。
ドラクエ7にも似たような別れがあります。
英雄メルビンです。
彼もまた、主人公たちと自分は住む時代違う、すでに過ぎ去った時の人間であることを理由に急に別れを切り出します。それまでまったくそんな話は出てこないので、これにはバーバラの時と同じように、苦い苦い切なさが……
別になかったんですよね。
メルビンがいなくなるとき、仲間たちは「どうして!?」と言いますが、私は単純に「ふーんメルビンとはここでお別れなんだな」となんだか達観していました。
なんでですかね。
やっぱりメルビンだからですかね。
多分そうですよね。
いえ、恐らくはメルビンもバーバラ同様体がうっすらとしてすぅーっと消えて行ったらもうちょっと悲しかったと思うんですよ。体がすぅーっと消えるのって、いかにも切ないじゃないですか。でもメルビンはピンピンしている状態での別れだったので。
タイミングもありますね。バーバラとの別れは、仲間皆がそれぞれ平和な世界に帰っていき、よぉし最後は自分たちも!これからが本当の平和だ!というタイミングでの別れだったので、最後の最後でこんな悲しい別れが……!となりました。
しかしメルビンはというと、エンディングのかなり最初の方で離脱するんですよね。ドラクエ7は最終的な仲間が5人、でも一緒に移動できるのは4人まで。なので一番最初に1人離脱させるためのメルビンなわけです。しかしこちらとしては、平和になった!平和になった世界を早くめぐろう!と興奮気味で、むしろメルビンに引き留められることで、わかったわかったメルビンと冒険できてよかったよじゃあまたな、ぼくたち先を急ぐんで!みたいな気持ちになってしまっています(個人の感想です)。
このタイミングの差が、バーバラは悲しいけどメルビンはそこまでだな……となる要因の一つともいえそうです。
あとは、バーバラは他の皆とは違うんだなっていうのが切なさに拍車をかけていましたね。みんな現実に生きる人間なのに、私だけは違うんだみたいな。
それはメルビンも一緒なのですが、ガボもぶっちゃけ生まれた時代は違うので、やろうと思えばメルビンもこの世界で生きられたのでは?と思います。現にニセの神が復活したときは、そのまま現代に残ってますからね。
でも最終的にメルビンは自ら別れの道を選んだんですね。
バーバラは可能であれば主人公たちのそばにずっといたかったはずだけどそれが「できなかった」。
メルビンはずっとその時代にいることもできたはずだけど自分から「そうした」。
この違いが寂しさの違いなのかなと思います。
自ら選んだ道なら後押ししたいですし、抗えない何かによってそうなってしまったのであれば後悔の念が残ります。
でもやっぱりメルビンだからだと思うんですよね~。
マリベルが「私はもうここから先には行けないわ」とか言ったら「なんでだよ!僕たちずっと一緒に旅してきて、これからもずっと一緒なんじゃないのかよ!マリベルと一緒に平和な世界を見たいんだよ!」って思ったはず。
つまり、私はメルビンに思い入れがない……?
そんなバカな。
私は、メルビンのことが大好きなはずなのに。
ごめんねメルビン。
これからはちゃんとメルビンとの別れも悲しむようにします。
(文・やなぎアキ)
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