インパスを使って、青ならアイテム、黄色ならお金、赤ならモンスター、という識別。子供のころ全然覚えられなかったな。
だからインパス使っても意味なかったな。
ひとくいばこAの場合
お?この足音は……。しめしめ、勇者たちがとうとうこのダンジョンに来たようだぞ。苦節10年。雨の日も風の日も勇者を待ち続けて、ようやく悲願が達成される。ここ洞窟だから雨の日も風の日も関係ないけど。
さぁ、この宝箱を開けるんだ勇者よ!開けたが最後、一思いにかみちぎってくれるわぁ!
勇者はインパスを唱えた!
あれぇ!?
宝箱は赤く光っている。勇者はその場をあとにした!
ええ!!行っちゃうのぉ!?あなたが開けずに行ったら、私もう出番ゼロでここにいるしかないんですけどぉ!?誰にも開けられず退屈な余生を過ごすしかできないんですけどぉ!
BAD END
ミミックAの場合
んん?この足音はもしや、そうかそうか、勇者がこのダンジョンにやってきたようだな。しかもだいぶ満身創痍と見える。仲間は他に2人か、1人はすでにやられているようだな。ここまでご苦労なこった。あれだけ疲弊しきっていれば判断力も鈍っているだろう。そこでこの宝箱を見たら思わず開けてしまうに違いない。
おお、どうやら宝箱のふたに手をかけたようだな。
よし、やつが開けた瞬間にザラキをおみまいしてやろう。そしてそのまま全滅させてくれるわぁ!
さぁいくぞ!
勇者はインパスを唱えた!
ザラ……
宝箱は赤く光っている。勇者はその場をあとにした!
キ……!?
え!?ちょ、まザラキは宝箱の中に充満しミミックは死んでしまった!
BAD END
ひとくいばこBの場合
はぁ~、なんでこんなところに配置されちゃったんだろう。ボク、ひとくいばこだよ?こんな終盤中の終盤のダンジョンに置くなんて、管理が行き届いていないよ。ボクなんかが勇者と戦ったって瞬殺だよ。もっと早めのダンジョンに置かれて、勇者たちをびっくりさせたかったなぁ。今はもう勇者に絶対開けられたくない、死にたくないもん。
あ、勇者の足音だ。ばれるなばれるな~。ああ、ばれた、そりゃそうだよなぁ、宝箱目立つもんなぁ。開けないでぇ。
勇者はインパスを唱えた!
あ!
宝箱は赤く光っている。
そうだ!ボクはモンスターだぞ!開けない方がいいぞ!ボクはパンドラボックス、ボクはパンドラボックス……
勇者は宝箱を開けた!
ええ~~~~、なんでぇ~~~、赤いんだから開けなくてもいいじゃんんんんんん。なんのためのインパスゥ。
ひとくいばこは速攻でたおされた!
BAD END
あくまのツボAの場合
このよろずやの天井も見飽きた。来る日も来る日も天井。退屈だ。よろずやの親父は全くと言っていいほどこっちに近づいてこないし、退屈だ。
誰かツボをのぞきこめ。そしたら戦いを挑んでやる。痛恨の一撃で思い切り倒すのもいいし、ザキで一瞬にして倒すのもいい。
誰か早くのぞけ。
お、久しぶりによろずやに客が来たようだな。さぁお前、早くのぞけ!
ドラクエ5の主人公はインパスを唱えた!
あ?
ツボは赤く光っている。主人公はその場をあとにした!
おい!お前!のぞきこめよ!なんで村の中なのに警戒してインパスを唱えているんだよ!しかもこちとらツボだぞ!さてはてめぇ、初見じゃねぇな!
よろずやのおやじ(早くだれかあのツボ倒してくれないかな……毎日泣きそう)
よろずやのおやじ BAD END
(文・やなぎアキ)
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