ドラクエ4のガーデンブルクで無実を証明するために仲間を牢屋に入れる。ドラクエ5のサラボナで生涯の伴侶となる花嫁を選ぶ。
どっちもすごく重要なイベントのはずなのに、ゲームだからかプレイヤーという視点が強く反映されてしまう。
要は
使えるかどうか
だよね。
ああ~~~。なんて冷酷なんだ。
わかっているわかっている。
無実の罪を着せられてしまった勇者たちが、真犯人をつかまえたいと言って、女王からじゃあ人質を置いて行けよ、と言われたあの時。
勇者たちは心苦しかっただろう。大事な仲間を、一時とは言え牢屋に入れることになるだなんて。なんの罪も犯していないというのに、なぜ共に戦う仲間を牢屋に入れなければいけないのかと。仕方ないことだと仲間は許してくれるだろうことはわかっていても、その誰かを選ぶことは心苦しかっただろう。
牢屋に入る仲間を前に、他の仲間たちは口々に
「すまない、必ず真犯人をつかまえてくる、すぐつかまえてくるから」
と声をかけ、ぐっと拳を握ったことだろう。そして牢屋に入った仲間は、勇者たちのことを心の底から信じ静かに待つのだろう。
しかし、テレビの前のプレイヤーは考えるのだ。
誰だったら置いていっても何の問題もないかな???
はぁぁぁぁぁぁぁ。これがゲームだよ!これがゲームなんだよ!
クリフトもミネアも回復呪文が使えるから外せないし、アリーナないしはライアンは主力なので外すなんてもってのほか。マーニャの攻撃呪文も強いので外したくない。
つまり。
ブライかトルネコだな。
ヒャド系は強いけど別に攻撃呪文はマーニャで間に合っているし、トルネコの特殊行動は面白いけど別に必須ではないし。
まぁ、どちらかというとトルネコかな。トルネコだな。
そういう打算!!
そういう打算だよ!
仲間たちが心苦しい決断をしている裏では、プレイヤーの打算が渦巻いているんだよ!
というのが、ぶっちゃけドラクエ5の嫁選びでもあると思う。
ゲーム内の主人公は、眠れなくなるほど悩んで決めたはずの花嫁。
プレイヤーだって最初こそ、好みだとかで選んでいたはずだ。ポッと出のお嬢様じゃなくて幼馴染を選ぶんだ!という意思でビアンカを選んだり、幼馴染言うてもそんなに思い出はないし清楚なお嬢様が好きなのでフローラがいいですと選んだり。
ああそんな時代があった!あったさ!!
しかし!時が流れ、キャラクターの性能を皆が理解し、そこにあるメリットデメリットを知った時!
そこで生まれるのは、牢屋にトルネコを入れたときと同じ、あの打算!!
ぶっちゃけ!!!!
行く先々でルドマンさんからの支援物資がもらえる、しかもベホイミを使えるという特典付きのフローラが!!!
今後旅をしていくうえで便利!
ほらもう、特典とか便利とか言い出しちゃっているもん。なんならトルネコを牢屋に入れたあのときよりもひどい。
これがゲームだ。これがプレイヤーだ。
ビアンカとしか結婚しないんだ!と思っていたあの頃の自分はもういない。
子どもの髪色も青の方が可愛いしな、だなんて、もう打算でしかない。遺伝子にさえ干渉しようとするそのおこがましさ。
DS版ドラクエ5が出たときに、デボラという花嫁候補が増えたわけだが、そこでもまた生まれる
へぇー、せっかくなら新しいキャラ使ってみたいしデボラ選んでみるか。
という打算!!
キャラクターの人生を新旧で決めるな!!
でもあれなんだよな、そういう打算で選んだはずなのに、旅をしていくうちにキャラクターにまぎれもない愛着が生まれることもあるんだよな。メリットデメリットを超越した愛着が。
政略結婚でしかなくそこには愛なんてなかったはずなのに、気づけば相手のことを愛していたみたいな、そういうやつになるんだよな。
なおトルネコに関しては始終何も思わない。
(文・やなぎアキ)
関連記事