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【ドラクエ2・5】トンヌラという語感からくる間抜けっぽさと、実はカッコいい名前だというギャップ

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ドラクエ2のサマルトリアの王子の名前候補の一つであり、パパスが息子につけたいという名前であり、牢獄の町から逃げ出そうとする反乱軍のリーダーの名前でもあるトンヌラ。

 

他にもこまごまとしたところで出てくるトンヌラというこの名前は、ドラクエ界ではもはやなくてはならない存在だ。

 

勇者の子孫であるサマルトリアの王子や、勇敢な王が息子につけようとしたこと、そして反乱軍のリーダーにもつけられているという点を見ると、パパスの妻マーサが言うように「勇ましくて賢そうな」名前なのかもしれない。

 

しかし。

 

しかししかししかし。

 

 

 

いかんせんなんか弱そうな語感なんだが!?

 

 

 

なぜだ、なぜなのか。

なぜこのトンヌラ、こんなにも間抜けな感じの響きなのだろうか。

 

語感の持つ力というのはバカにはできない。

濁音があることで強そうな印象を与えることもあれば、半濁音は不思議だったり軽快な印象を与えることができる。前者はガンダムやゴジラ、後者はパルプンテやペンパイナポーアッポーペンなど。そう考えるとピッコロという名前で大魔王をやっていたドラゴンボールの彼はすごいな。

 

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トンヌラがなぜ間抜けなのか。

まず目立つのは「ヌ」の存在だ。「間抜け」という言葉にも「ヌ」が入っている。これじゃないか?これのせいじゃないか?「ヌッ」って感じがすごい。

しかし、それよりももっと深い問題をこのトンヌラははらんでいるのではないだろうか。

以下に書くことがちょっとでも気になった人は、しっかりと音について調べてみると非常に面白いぞ。

 

トンヌラの語感について考えると、「トン」がかなり大きな力を持っていると考えられる。「たちつてと」というのは舌を上あごに一度くっつけて発するわけだ。これは勢いよく発すればなんとなく軽い印象を受けるかもしれないが、トンヌラの場合後ろに続く文字は「ン」、勢いは失速する。のちに続いているのが「ン」なため、そもそも「ト」もなんとなく落ち着いた感じで発音してしまう。「たちつてと」は落ち着いて発音してみると、地に足がついているような安定した語感になる。その後の「ン」の力もあって、あまり素早さを感じない名前の始まりになっている。

そして「ヌ」だ。「なにぬねの」も舌を上あごにつけて発音するが、タ行とは性質が全く違う。音を出すときに意識してみると、ナ行は鼻を利用していることがわかるだろう。このためナ行はタ行よりもさらに重さのある音になる。

さらに「ヌ」は子音が「n」なため、直前の「トン」からそのまま流れるように発音できる。「なにぬねの」をゆっくり発音すると分かるが、各音最初にちょっと「ン」と言ってしまうのだ。これを考えると「トンヌ」までの流れは非常によくできている。

 

「トン」で地に足のついた落ち着いた印象があり、ヌでさらに重さを付加させる。ここまでやれば最後の文字がたとえなんであろうとなかなか重さは払しょくできないだろう。比較的軽い音を連想させるサ行を使っても「トンヌサ」とか「トンヌソ」とかになってしまう。むしろ音がふっと消えていくようでさらに弱さが増すかもしれない。

 

トンヌラに対して弱そうな間抜けな印象を受けたが、それは語感の力によって素早さがあまり高くなさそうだな、と思わせるからかもしれない。間抜けというよりは、遅そうという感じか。

 

しかしどっしりと構えている分、動かざるごと山のごとしというか、逆に重量級の戦士であればしっくりくるかもしれない。そう考えるとマーサのいう「勇ましくて賢そう」というのはあながち間違いではないか?賢いかどうかは別として。

 

 

さて、ではこのトンヌラ、なぜこの名前が勇者の子孫の名前候補に入っているのか。

 

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実はこれは北欧神話に登場する雷神トールからきている。正確にはトールを由来とするフランス語で、フランスではトンヌラというのは苗字として普通に存在する。間抜けとか思ってごめんなさい。でも多分ネイティブでトンヌラって発音されたら「やっぱりフランス語は滑らかな響きで美しいな」とか思うんだろうな。

 

雷神と言われると、ドラクエファンとしてはライデイン!と考えてしまうが、ドラクエ1、2の時点ではまだライデインの呪文はない。

しかし、ベギラマがある。元々ベギラマは雷の呪文であり、電を落とすという効果があった。ライデインはなくとも、初代のころから勇者は雷の呪文を使えたのである。

そして、トール神を由来とするトンヌラの名を持つサマルトリアの王子もまた、ベギラマを使えるのである。

 

雷神の名を持つというと途端に強そうであり、実際に雷の呪文も扱える。

本当はトンヌラって一番いい名前なのかもしれない。

実際みんな愛着を持って、後続の作品にも登場するくらいなのだから。

 

(文・やなぎアキ)

 

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