ドラクエ2で心折れたところってどこ?
そんなのいっぱいあるわい!!
それが正直な感想だろう。
すぐ死ぬ仲間!
圧倒的金銭不足!
多すぎる雑魚敵!
強すぎる強敵!
難しすぎるダンジョン!
ベホマをしてくる破壊神!
もういくらでも語られてきたことだろう。とりあえず脳直でロンダルキアと言いたくなるくらいにはもうみんなで共有してきたことだろう。マンドリル~。
しかし、せっかくなら一風変わった難所を紹介したい!
あわよくば自分語りしたい!隙が無くても自分語りをしたい!
ドラクエ2の難所と言えばというお題に対して、思い出を語りたい!
ということで、私だけの、そしてたった一度きりの難所を発表します。
※画像はFCですが、実際にプレイしたのはSFCでした
こいつだこいつ!!こいつだよ!
サマルトリアの王子だよ!
違うの!別に彼の能力値が~とか死にやすさが~とかそういう話をしたいんじゃないの!
これだよ!これが難所だったんだよ!イッツミー!
ドラクエ2を初プレイしたときの私は、かろうじてドラクエ1をクリアしたばかりの幼き子供だった。
当時の私は妖精の笛の使いどころがわからず、ロトの剣は見つけられず、まぁなんともしどろもどろにりゅうおうを倒した勇者であった。
そんな勢いでドラクエ2を始めた私。
まずサマルトリアの王子を仲間にしろと言われるのだ。
今回は仲間がいる!しかもこんな最初から仲間がいるんだ!と意気揚々とした。早速サマルトリアの城まで駆けだした(ドット絵だけど多分走ってた)。
途中リリザの町に寄りながらも迅速にサマルトリアの城に着く私ことローレシアの王子。
こんなに簡単に仲間って増えるんだ!と純真な心をワクワクさせた。
まぁ、サマルトリアの城に、サマルトリアの王子いないんですけど。
絶望。
今思えば絶望までがはえーよって感じなんだが、子供だったんで、そこにいると思っていたものがいないことの喪失感がすごかった。
辛かった。
が、RPGというのはそういうこともあるのだな、と気を取り直して勇者の泉の洞窟に向かった私ことローレシアの王子。洞窟ぅ?それって大変なんでしょう?とすでに及び腰である。
しかもこの洞窟、意外と広いし。
そしてやっとたどり着いた泉にサマルトリアの王子らしき姿はない。聞けば、ローレシアの城に向かったと老人は言うではないか。
絶望。
洞窟までわざわざ来たのに、何アイツもうどこか行ってんだよ!!!!待っとけよ!泉でずっと待っとけよ!
しかもローレシアの城ってなんだよ!家じゃん!私の家じゃん!
じゃあ何か?私が城の外に出ずそこでずっと待っていればサマルトリアの王子とすぐ合流できたんか?一歩も動かずに仲間ができたんか?そういうことか?
幼い私はフラグというものを知らない。ここまでの足跡がなければサマルトリアの王子もまたローレシアの城に向かうことはないのだが、そこまで考えが至らなかった。まじで動かなければよかったと思っていた。
つらい。
でもまぁ、さすがにローレシアの城に行けばサマルトリアの王子が仲間になるのだろう。3度目の正直というやつだ。多分当時はこの言葉を知らなかっただろうが。それでもここまで振り回されたのだからもう会えるはずという確信に満ちていた。
まぁローレシアの城にもサマルトリアの王子いないんですけど。
絶望 of 絶望。
折れました、心。私の純真無垢な心は折れました。
もうだめ。一生会える気がしない。だってこんなに追っかけてるのに一向に追いつかないんだもの。というかなんで待つとかしないんだよ。ローレシアの城でゆっくりお茶でも飲んでいればいいじゃない。なんですぐどこか行こうとするの?
こうして、サマルトリアの城に行ったぞ、という情報を得る私。ループである。
これは、
サマルトリア→勇者の泉→ローレシア→サマルトリア→勇者の泉→ローレシア→サマルトリア→勇者の泉→ローレシア→サマルトリア→勇者の泉→ローレシア→サマルトリア→勇者の泉→ローレシア→…………
が始まるに違いない……と思った。想像力豊か。子供は想像力が豊か。サマルトリアの城に行っても絶対ヤツはいないし、多分また洞窟に行かされる……と恐怖した。
もうだめだ、サマルトリアの王子とは一生合流できない!!と。
そんなわけがないだろ、それじゃゲームが破綻してしまう。と今なら思うが、当時はまじで思った。まじで追いかけっこが終わらんと思っていた。
そこで私は先輩勇者であるガチのマジの自分の母親に相談した。
サマルトリアの王子に追いつけない、と。我ながら可愛いかよ。
すると先輩勇者はこう言うのだ。
追い付けないと思うなら、むしろ先回りをしてみたら?まだ探しに行ってない場所があるんじゃない?
と。
なんという発想!先回り!そんなこと思いもよらなかった!と私は目からうろこ。そうか、サマルトリアの城にこのまま向かうのは相手の思うつぼ!裏をかくのだ!相手の戦略に乗るんじゃない、相手が私の戦略に乗るのだ!と、そこまでのことは思わなかったが、サマルトリアの城に愚直に向かうことはやめた。そして、リリザの町にまだ行っていないことを思い出したのだ。
すると!いるではないか!見慣れない人物が!
勝っっっっっっった!!!!!!
もうね、
お前が言うなよ
とか
私の方こそ探したわ!
とか思う前に、
勝っっっっっっった!!!!!!
という感情があふれ出した。
そして、これを機にRPGの進め方というのがわかってきたのだ。進行につまったら一度立ち止まってみることが大事なのだ。
だいぶ後になって、サマルトリアの王子は城に戻る前にリリザで休んでいたのだということが分かった。つまり、当時私が思っていた
ローレシアの城→サマルトリアの城→リリザ
ではなく
ローレシアの城→リリザ→サマルトリアの城(予定)
だったわけだ。なので、先輩勇者が言ったような先回りではなかったわけだ。
それでも私は、あれはサマルトリアの王子の裏をかいた、私の華麗なる先回りであったと今でも信じている。
(文・やなぎアキ)
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