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【ドラクエ1】勇者は一体どこで育ったのか。

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ドラクエシリーズの主人公はほぼ全員出自が明らかであり、どこで育ったのかも明示されている(ドラクエ4は出自についてはやや曖昧だが、木こりや天空城の女性という存在がいる)。

しかし、その中で唯一、出自も故郷も何もかも不明な主人公がいる。

 

それがドラクエ1の勇者だ。

 

ドラクエの始まりというのは、その大体が主人公の旅立ちから始まる。

しかしドラクエ1の始まりはというと、FC版の公式ガイドブックには以下のようにある。

 

いずこよりか現われた悪魔の化身・竜王が、代々アレフガルド王家の手にあった光の玉を奪い、闇に閉ざしてしまったのである。(中略)

「やがてこの地に、ロトの血を引く者が現われる。その者こそが竜王を滅ぼすであろう。」

そして数年の後、予言の通りその若者は現われた。

『ドラゴンクエスト 公式ガイドブック』より

 

このように、ドラクエ1の勇者はどこからかふらっと現れた存在なのである。また、SFC版公式ブックのキャラクター紹介には出生、生い立ちともに、何一つ明らかではないと記載がある。すべてが謎に包まれているのだ。

ただ一つ分かっているのは、伝説の勇者ロトの血を引く者であるということだけ。むしろなぜそれだけはわかるのだろうか。

 

この一切合切が謎に包まれている勇者は、一体どこで育ったのか、どこから来たのか。

 

小説版の設定では、滅ぼされた町ドムドーラの出身になっている。

なるほど、すでに魔王軍に滅ぼされた町ないしは村の出身というのはあり得る話である。ドムドーラではないにしても、そもそもゲーム上で描かれていないだけで滅ぼされてしまった集落というのはアレフガルドにはいくつもありそうである。ドラクエの主人公あるある、故郷滅ぼされがちというのを考えるとこれが有力だろう。竜王の影響で魔物たちに故郷を滅ぼされ、命からがら着の身着のまま(というか素っ裸)で逃げてきてそのままラダトームにたどり着いた可能性もある。とすれば、意外とラダトームに近い集落だったのかもしれない。レベル1の勇者がラダトームにたどり着くには、あまり遠すぎると途中で死ぬ恐れもあるわけである。勇者なので、ルビス様の加護によりラダトームに着くまでは聖なる力で守られながら移動できた、とかであればドムドーラくらい遠くてもなんとかなりそうである。

 

そう、レベル1なのだ、勇者は。あまりにラダトームから遠いと、どうやってフィールドを移動してきたのか問題にぶち当たる。ゲームと同様、いきなりラダトームにワープでもしない限り正直厳しい。

であれば、もしかしたらドラクエ3の勇者同様上の世界から落ちてきてラダトームに到着したのかもしれない。生まれや育ちは上の世界であり、あるときギアガの大穴から先祖同様落ちてきたと。そもそもドラクエ3の勇者がクリア後どうなったかというのは現在に至るまで明確な解というのは用意されていない。実は上の世界の母親のもとに戻ったと考えてもかまわない、と公式のコメントがあるが、これはつまりどう考えてもいいともとれる。ならば、ロトの子孫というのは実は上の世界にずっといたのかもしれない。ギアガの大穴はゾーマを倒したあと閉じてしまったとされているが、それが、竜王の出現により再び開いたというのは少し強引だがないとは言えない。ゾーマを倒し平和を取り戻したから穴が閉じた、であれば、アレフガルドの再びの危機に、もう一度穴が開いたとしても不思議ではない。

それならば、ドラクエ1の勇者の故郷はアリアハンである可能性が高い。

 

アレフガルドのどこかの集落、上の世界の他にも勇者の故郷候補はある。アレフガルドの大陸の外である。ドラクエ1だけをプレイしているぶんには、世界というのはアレフガルドしかないように思えるが、1のエンディングで勇者は「自分の国は自分で探したい」と発言している。アレフガルドはラダトーム王家がすでに治めているため、これはアレフガルドの外の世界のことを指していると考えられる。あの世界の住人にとって外の世界とは存在して当たり前なのである。現に勇者はアレフガルドの外にローレシア国を作った。

外に自分の国を求めた勇者は、そもそもアレフガルドの外から来た、という可能性も否定しきれない。

とはいえ、これは一番可能性が低いかもしれない。勇者がラダトームを訪れたのは竜王が光の玉を奪ってから数年後。竜王はアレフガルドを闇で閉ざしたらしいので、外界から(恐らく)船で訪れるということは不可能ではないだろうか。それができたら、ラダトームはとっくに他の国に助けを求めているだろう。竜王が光の玉を奪う前に勇者がアレフガルド上陸を果たしていたとすれば、そこからラダトームにたどり着くまでに数年かかっているのも不思議だ。それこそ、到着後ドムドーラで暮らしていたとかなら、まぁなくないが。それだとなぜわざわざ勇者がアレフガルドに来たのかがわからない。さすがにこの説はなしだろうか。

やっぱりルビスの加護によって、闇に閉ざされた海を船で渡り上陸できた、であれば無理ではない。ルビス様の加護、万能。

 

ゲーム内容だけを加味して考えると、以上3つが勇者の出自だろうか。しかしどれも不自然な点があったり決定力に欠ける。

勇者の生い立ちは謎のままである。

 

しかしそれがまたいいのだ。

最近は伏線はすべて回収し、物語内で説明を全てなされていないとスッキリしない、というプレイヤーも多いだろう。なのでここまで謎に包まれた主人公というのは、初代ならではである。勇者は自分自身だからこそ、過去自体も自分の好きなように考えられる。それが1の勇者の魅力の一つだろう。

 

ちなみに、ドラクエとよく同列に語られるRPGのファイナルファンタジーも、1の主人公である光の戦士の正体は謎に包まれている。特にキャラクターのバックグラウンドはなく、どこからか現れた勇者という設定が同じだ。また、余談だがドラクエ1のCDシアターにて勇者の声を担当した関俊彦氏はDFFなどでこの光の戦士の声を担当している。

ドラクエとFFという伝説のゲームの胸アツな共通点である。

 

 

(文・やなぎアキ)

 

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