可愛い王女と、天才の幼なじみ……両手に花!こんな状況やめられるか!
我らが大人気RPG「クロノ・トリガー」は、主人公クロノと王女マールの出会いから始まる。そこに幼なじみのルッカが加わり、本格的な冒険がスタート。
ダブルヒロインという形式で、違和感もないかもしれない。
しかし今になって思うのが、街の外にちょっと出掛けてみる……とかではなくいきなり別の時代に飛ばされたりするのに、仲間に選ぶのが(なりゆきでもあり、ある程度必然的にそうなってしまう部分もあるにせよ)女の子2人って結構ヤバいと思う。
例えばルッカのお父さん。あいつはいいぞ。あいつは鍛冶屋でマッチョだ。これは言い切れるのだけど、まず間違いなくあいつが来てくれた方が心強い。
でもクロノの選択は違う。クロノにとっては娘の方が魅力的。女の子2人とのトリオである事が大事。こんな花園、手離せない。手離せないのだ。
でもやっぱり、トリオでの冒険には限界がある。
そもそも近接戦出来るのが自分だけって辛過ぎる。すぐにメリデメがアンバランスになる。世界の善なる存在に助けを請うべき時がくる。自分1人の力では、この花園を守れない……!
でも、耐える。結構耐える。
花園を手放したくないから。
……という努力が報われて、ようやく都合の良い男が現れる。カエル。強い騎士カエル。プレイヤーの女性陣にはファンも多いけど、そんなのはクロノのあずかり知らぬところである。
もしかするとクロノは内心、カエルが元人間っぽい事に気がついて「カエルが人間に戻ったら、願いが叶ったねと⦅卒業⦆してもらおうか」とか焦ってたかもしれない。
多分出会った時に「美女と野獣」その他諸々の、真実の愛で魔法・呪いがとけるパターンを知らなかった。だからこその盲点。知らないからこそ、ロマンスを想像できず仲間にした。その見落としによる戦力増強が、結果的に世界を救う。
どうやら他に好きな人がいるみたいだっていうのもかなり心象を良くしたに違いない。マールとルッカは渡さんよ。マールとルッカは渡さんよ。
でもまだ足りない。
世界を救うのは大変過ぎる。仲間が足りない。戦力が足りない。
さすがに都合良く動物になってるやつは見つけられない。次は無機物にしよう。無機物ならきっと大丈夫だ。
クロノは多分、無機物は恋愛対象外だというレベルの知識しかない。ロボなんて絶対的恋愛圏外。機械なんだからルッカも喜びそう。喜ぶけどそこにロマンスは絶対にないと思っている。可能性を考えていない。見た目が可愛い女の子のアンドロイドとかだったらちょっと好きになっていたかもしれない。でもロボは無骨。無骨さ故に、クロノの危機感を刺激しない。
搭載されてる頭脳が男っぽいのが気になるけど、どうせ大丈夫。この「どうせ大丈夫」がのちのち世界を救う。パーティーはまた、強化できた。
このタイミングで、クロノは気がつく。
いくら対象外とはいえ、男女比が逆転してる。
これが黄金比率でないことは間違いない。
恐竜人間から新しく仲間にしたい女性を見繕う必要があるかもしれない……いやいや、カエルと同じくらい圏外だ。無理。どう見ても爬虫類だもん。自分が恐竜人間にならないと良さがわからないと思う。でもきっとそんな未来やエンディングはない。ありえない。……少なくとも、今はいい。今は、仲間にいらない。
……なるほど、原始人か。
まあ、哺乳類のほうが悪くない。
哺乳類なら全然オッケーとさえ思える。
いたずらに歴史に介入して、哺乳類から1人見繕って、ちょいちょーいともらっていこう。エイラって名前か。悪くない悪くない、むしろなんか良い。
流暢に話せる人でもカタコトな人でも愛してこその花園。大丈夫。いける。モチベあがった。彼女が最初のメンバーだったら攻めすぎ感もあるけど、このタイミングならむしろ良い。バリエーションが増えた感じがする。華やいだ。最高だ。オーソドックスで見慣れた存在よりも、ピリッと風味が強い存在の方がいい。
バリエーションの豊かさも花園では大切だ。
世界を救うのは大変だが、これならやれる。うまくやれそうだ。魔王も倒した。あとはもう、この星を救えるレベルに達している。すごい。この花園、すごい。ちょっと話が大きくなり過ぎて不安だけど、乗りかかった船だから頑張る。花園レディ達も見てるし。今さら無理、引き返せない。でもコイツらでホントにやれるのか?もっと大人に頼って、大勢でなんとかした方が良いんじゃ……
いや、無理だ。花園の維持が不可能になる。
この星を守りつつ、花園も守りたい。
……え?
魔王仲間になってくれるの?
見た目は人間の男だけど……でも人間ってワケではないし、女性陣とも距離がありそうだし……
本当は敵だったけど……
強そうだし……断ってもなんか空気悪いし……
う〜ん、採用!
一緒に世界、守ろうね!
※本当は私は、クロノくんが大好きです。彼は結構硬派なはず。
(文・深々シン)