クロノトリガーの素晴らしいところは、パーティーメンバーによってイベントの台詞や内容がちょっと変わること。
細かな台詞設定が素晴らしい。
マルチエンディングだけではなく、この細かい作りのおかげで何度でもプレイしたいゲームにクロノトリガーはなっている。
話は変わって、クロノトリガーのヒロインといえば誰だろうか?
ゲームのストーリー的にはやはりマールだろう。
エイラ派の人もルッカ派の人もいるだろうが、クロノがマールとのあま~い新婚生活を夢に見ているものだからどうしてもそうなる。エンディングではクロノとマールが風船につかまり遊覧飛行したりするし。どれだけ熱烈にエイラやルッカを推してもそうなる。
死んでしまったクロノを生き返らせるために死の山に登るマール。クロノを現世に取り戻したマールは彼に抱きつき、思いの丈をぶつけ……。
ああ、マールは本当にクロノを想っているんだとプレイヤーにも伝わるイベントだ。
しかしちょっと待ったぁ!!!!
そこは!そこはルッカをパーティーに入れるんだ!一度でもマールでのイベントを見たなら、今度はルッカで死の山のイベントを!!!
ルッカといえばクロノの幼なじみであり、クロノより2歳年上のお姉さん的存在であり、たまーに失敗しちゃう発明家。自信過剰で、お酒が入ると粗雑になっちゃう、マールとはまた違ったタイプの元気な女の子だ。
そんなルッカを死の山に連れていき、クロノの生き返りの場に参加させると……。
言いたくても言えなかった、胸の内を少しだけ吐露してくれる……。
クロノの死への悲しみを、自分の感情の赴くままに表現するマールの後ろで、ルッカもまた苦しんでいたのだ。自分を自由にしてくれた王子様のような存在であるクロノを失ったマールの悲しみは想像に難くない。そんな不安定なマールをそばで支えたルッカ。
しかしルッカだって、辛くて悔しくて泣きたかったはずだ。ルッカにとってもクロノの存在は大きかったのだ。
これは死の山にマールをつれていったのでは見ることができない。回復のスペシャリストであるマールを入れておくのがデフォルトなプレイヤーは、特に一周目のプレイでは多いはず。
仮にルッカをつれていったとしても、マールもパーティーにいる場合はマールが優先されてしまう。これもやはりマールがストーリー上のヒロインであるためか。
自身もクロノに抱きついて、戻ってきたことを喜びたいはずなのにマールにその場所をゆずり後ろでじっと見ているだけのルッカ。
ルッカ……!!
お前さんこそ、私たちのヒロインだぜ……!!!
(文・やなぎアキ)