スライムを倒した！なんとスライムは起き上がり、仲間になりたそうな目でこちらを見ている！
仲間にしますか？
いいえ
スライムは寂しそうに去っていった。
その後スライムは一体どうなったのか！？いいやスライムに限らず、仲間になることを拒まれたモンスターたちは一体どうなったのだろうか！？
これは、良い心を持ってしまったばかりに、どこにも帰れなくなったモンスターたちの、孤独の物語である。
みたいな外伝を作ってほしい。モンスターたち一匹一匹に物語があるはずだから、「いいえ」と言われて去ることしかできなかった彼らの話というのはとても興味深いと思う。
一旦、自分でできる限り、その後のモンスターについて考えていきます！！
主人公に拒まれたモンスター。とりあえず雨に打たれる。すべからく雨に打たれる。雨すごい降ってる。
雨に打たれながら、主人公に言われた「いいえ」を反すうする。
「いいえ」
「いいえ」
「いいえ」
その後、これまでの自分の人生、いえ、モンスター生を振り返る。
モンスターの両親のもとに生まれ、普通にモンスター小学校に入り、モンスター中学校で初恋を知り、モンスター高校ではやさぐれたときもありました。そして両親におかげでモンスター大学を卒業したあと、魔王の元に就職。人間の嫌がることに心力を注いできた。
モンスターの誰もが歩んできた道だ。
しかし、自分が人間の嫌がることをしていたから、「いいえ」と言われたかもしれない。と思い始める。
改心したけど、許されなかったのでは。
ここから分岐。
①悪の道に還るルート
王道。一度人間を信じてみたのに裏切られたことによる絶望でもう一度悪の道へ。
雨の中めちゃくちゃ雄たけびをあげる。アメコミ映画で悪役が誕生するシーンみたいな感じ。
「悪の道への帰還～やるせなさと怒りを添えて～」
のような感じ。
そこからは以前よりもパワーアップしたモンスター生を歩む。重低音の笑いを響かせながら家とか壊しまくる。人間たちが逃げ惑う。
これこそが我が生！みたいなことを言いだす。
あのとき起き上がって仲間になりたそうな顔で見なければ、もっと平凡な、でも幸せなモンスター生を送れただろうに。
そしてまた主人公たちと出会う。今こそ、あの時の恨みを晴らすべし！と。
そのときも当然雨。「いいえ」を言われたモンスターは雨降られがち。雨モンスター。
もちろんモンスターは負ける。悲しい。
②人知れず人間の役に立とうとするルート
珍しいタイプ。主人公に拒まれたとはいえ、自分に芽生えた善い心に真摯に向き合っていく。
そしてこれからどうするべきか考えた時、これまでの悪事を少しでも償おうと人間の役に立とうとする。
これから第二のモンスター生が始まる！
ということで、自分を奮い立たせるために雨の中めちゃくちゃ雄たけびをあげる。今こそ本当の自分が解き放たれるぞーーと。完全にショーシャンク。ここショーシャンク。
あとはもう人間たちの手助け。細かいことはわからないけどとりあえず役に立つことをする。
エンドウ豆のすじを取っておいたり、もやしのひげを切っておいたりしてくれる。あととうもろこしのひげを数えて、本当に実と同じ数なのか確かめたりしてくれる。
そんなある日、人間の住む街にモンスターが襲撃してくる。モンスターたちの攻撃から街の子供を守るモンスター。
助けてあげた子供が、自分を見て
「もしかして、いつもじゃがいもの芽を取ってくれていたのは君かい？」
と言ってくれる。そんな夢を見ながら、子供が親の元に走っていくのを見送る傷だらけのモンスター。人知れずだけど人間の役に立ててよかった。そうして目を閉じる。悲しい。
当然のごとく雨。「いいえ」と言われたモンスターなので。
いやめちゃくちゃ悲しい！！こっちが「いいえ」って言ってしまったばかりにこんな悲しい目に合わせてしまった！！
これからは「いいえ」って言わないようにしよう！！
（文・やなぎアキ）
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