気っまずぅ～～～～～。
めちゃくちゃ気まっず～～い。
ドラクエ4はPS・DSでのリメイクでは、まさかの宿敵ピサロを仲間とすることができる。
第6章と銘打たれたそのストーリーの注目ポイントは、人間によって殺されたロザリーを千年に一度咲くと言われる世界樹の花でよみがえらせるところ。
ここで多くのプレイヤーが
「え？シンシアじゃなくてロザリーを生き返らせるの？」
と腑に落ちなかっただろうし、恐らく導かれし仲間たちも
「え？あんたそれでいいの？」
と口には出せず心中で動揺しただろうし、ゲーム中の勇者自身も
「え？オレ本当にそうしたいの？」
と思いつつも神に操られるがごとくロザリーを生き返らせていただろう。
そうして蘇ったロザリーのおかげで、進化から元に戻ったピサロを仲間にすることができる。お互い憎い存在であることには違いないが、エビルプリーストという共通の敵を倒すために手を組もうという算段だ。目的を達成するためなら、故郷を滅ぼした相手とも手を組むとは、勇者、恐ろしい子……。
その後無事エビルプリーストを倒した彼らであるが……
ちょっと待って、勇者もピサロもどんな気持ち？？？
一応一度は仲間になったんだし、その後の交流とかあったりするの？
エンディングで気球に乗った勇者たちを、ロザリーヒルからロザリーと肩を並べて見ていたピサロさん。そのまま人間とは極力関わらないようにして生きていくつもりかもしれないけど……。
正直、「いいのかな～」って思ってない？「自分だけ恋人生き返らせてもらって、その後末永く幸せに暮らしましたエンド迎えてもいいのかな～」って。
思っててもおかしくないよね？
今の暮らしがあるのって勇者のおかげだし、年に一度くらいは山奥の村に挨拶に行った方がいいかな？でも勇者の故郷滅ぼしちゃえって命令したの自分だから、やっぱり会いたくないかな？そもそも山奥の村にまだ住んでいるとも限らないし……。こんなことなら、グループLINEを速攻で抜けるんじゃなかった……。
そんな風に悶々としている可能性もある！ちなみにLINEのグループ名は当然「導かれし者たち」。
そして勇者の方も、ピサロとの今後の付き合いについて悶々としている可能性がある！
仮にエンディングで登場したシンシアが生き返った本物のシンシアだとした場合！
「両親やほかのみんなは帰ってこないけど、シンシアは戻ってきたからピサロのしたことはもう水に流した方がいいのかな～」とか思ってたりして。「いつまでもねちねち言ってるのって、なんだか大人げない気がするなぁ」って。
ピサロと一緒に冒険しているときは、なんていうかエビルプリーストを倒さなければ真の平和は訪れないんだ！早く倒そう！っていう言わばエビプリハイみたいになってたから勢いでピサロとも仲良くしていたけど……。
いざ冒険が終わってみると、お互いなんだか気恥ずかしいよ～。
こんな感じでお互い悶々としているかもしれない。
そして年に一回くらいの頻度で行われる、導かれし者たち忘年会みたいな集まりのときは仲間たちも巻き込んで悶々する。
「ピサロさまは呼ぶべきでしょうか」
「わし個人の気持ちとしてはピサロのやつめとお酒を飲みたくない」
「でも一度は一緒に戦った仲間じゃない！」
「そもそもピサロさんは来たがるのでしょうか」
「どうやってピサロに日時を伝えるかが問題だな」
「連絡先は勇者さまが控えてるから問題ないはずです」
「え、なんだかんだあいつら仲いいの？」
こんな感じで混沌としているはず。
で、結局ピサロを誘うかは勇者まかせにする。
勇者は悩んだあげく、来たくなかったら断るだろうと思いピサロを誘う。
ピサロはギリギリまで悩むが、土壇場でキャンセルするとキャンセル料がかかるため代わりにピサロナイトを行かせる。
「「「こ、これは、仲良くしたいのかしたくないのか、どっちだ……？！」」」
と8人が顔で笑って心でパニックとなる。
こんな感じで、お互い仲良くする気はちょっとはあるけど、そのためにはどうしたらいいのかわからない。みたいな距離感。
関係ないけど、エビプリハイってエビ料理とハイボールのセットみたいで、痛い居酒屋がやってそうなメニュー名っぽい。
（文・やなぎアキ）
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