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【ドラクエ3】ゾーマを知っていた私も、下の世界が出てきて驚いたという話。

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みなさんは、ドラクエ3を初めてプレイした時のことを覚えているだろうか?

あれだけの名作だからこそ、物心つく前にやったような人もいれば、初プレイ時の心躍るあの感動が脳裏に焼き付いているような熱狂的ファンの人もいるはずだ。

 

 

私はというと、ドラクエ3初プレイ前に、すでに物語の中核とも言える秘密を知ってしまっていたのである。

「ゾーマってやつがラスボスなんでしょ?」

と。

 

今になって調べると、発売当初はそうした「ゾーマがラスボス」という物語の核心が漏れないように、非常に注意か払われていたそうだ。

Vジャンプ攻略本では、袋とじの中身がバラモスという、いわゆる「バラモス=ラスボス」と印象づける待遇に。それって攻略本としてどうなのか……という思いはあるが、ネタバレを許さないという意味ではエンターテイナーだ。

 

宣伝などでもゾーマの顔やシルエットは出さず、専らバラモスばかりにスポットを当てていたというこだわりようだ。(ただドラクエ4コマは当時ルールが緩かったため、ゾーマとかロトとかって単語が出てきたりしたようだ。それでもバラモスの方が出番は圧倒的に多かったが)。

 

ゾーマが知れ渡っている今では考えられない「バラモスの天下」である。

 

そのおかげもあって当時ほとんどのプレイヤーはすっかり騙され、旅の目的を打倒バラモスと思い込んでいたのだとか。

バラモスの奥に潜む黒幕に気がつくのは、そのあと凱旋した城での事になる。

急なゾーマの登場に驚き慌てふためき、目を見張ったプレイヤーは多かったはずだ。

ドラクエ3は、冒頭の王の台詞から丹念に仕組まれた、その「興奮」を味わえるはずのゲームだった……。

 

 

 

しかし時が経ち、我々はドラクエ3のボスがゾーマだと知っていた。

ドラクエ3はゲームっ子の必須科目とも呼べるほどの名作になると同時に、様々なコラボやスピンオフでゾーマが露出する機会も増えたからだ。

 

ドラクエ3のボスは、大魔王ゾーマ。

 

それを知ってしまったがために、哀れな私は、当時の少年少女たちの驚きをなぞることは出来ないのだ……

 

そして冒頭、ドラクエ3のプレイを開始した時に至る。

ドラクエ1,2をクリアしてようやく3をプレイ開始した私。ドラクエ1,2も序盤から黒幕が明らかになっている作品だったから、特に身構えることなく電源を入れた。

冒頭、王は勇者に語りかける。

 

「敵は魔王バラモスじゃ!世界の人々はいまだバラモスの名前すら知らぬ。だがこのままではやがて世界は魔王に滅ぼされよう」


魔王バラモスを倒してまいれ!町の酒場で仲間をみつけ、これで装備を整えるがよかろう」

 

……え?

ゾーマちゃうんか!?

 

当時の少年少女よりも、むしろ先に驚いた。

ゾーマを知らなかったら何気ない台詞だが、知っていただけに驚いた。

思わずググりそうになるほど驚いた。

ゾーマがラスボスなのって他のナンバリングタイトルなのか?このゲームではバラモスっていうやつがラスボスなのか?

しかしネタバレを踏むのが嫌で、一度持ち上げたガラケーを床に置いた。今では、その時検索しなくて良かったと、強く思う。

 

……そして、私は察しの良い人間だった。

ゲームも色々やってたし、何よりドラクエ1,2をクリアした実績があった。

 

だからすぐに思い至ったのだ──バラモスを倒したら、そのタイミングでゾーマが出てきて真のラスボス戦だ、と。

竜の姿にもどるりゅうおうに驚き、シドーを召喚したハーゴンに驚いた私は、もういない。

成長したと思った。

嬉しかった。

 

そして、プレイを順調に進めていった私は、ついにバラモスを倒したのだ。ゾーマが後ろから出てくるのを身構えながら。

 

……あれ?

出てこない?

おかしいな。

 

クビを捻ってから「そうか、やっぱりドラクエ3じゃないやつのラスボスなんだな」と合点した。

そして王に褒められ……

平和な世界になり……

 

そして、ゾーマ登場。

 

ええええええ!?!?

マジ!?ここで!?

 

……下の世界!?!?

 

なにそれ、まだこのゲーム続くの!?!?

 

知らない知らない、この展開は知らないよ!!!

 

なにこれすごいゲームだよ!!!!!!!

 

 

 

 

 

下の世界での冒険が始まった時、正直言ってめちゃくちゃワクワクした。

過去作との共通点に、震えた。

まだこの仲間たちと冒険できる事を喜んでいた。

そして、下の世界を旅して──オルテガの死に涙した。

 

ゾーマは、時を超えて、私たちに冒険をくれたのだ。

ありがとう、ゾーマ。

ありがとう、ロト。

そして、一部ネタバレを知っていたからといって面白味が薄れるような安易なトリックではない、大きな仕掛けを作ってくれた製作陣の皆様も、本当にありがとう。

 

(文・OGTキシン)

 

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