ビルダーズ2のムーンブルク編において強烈な個性をこちらに叩きつけてくるキャラクターといえば、吟遊詩人のプットさん。
彼、なんでもかんでもところかまわず歌うもんだから困ってしまう。
ムーンブルク編といえば、人間の中に魔物に与するスパイがいるんではないかという疑心暗鬼がうずまく作品中でも屈指の陰鬱さを誇るシナリオだ。
城の中に不穏な空気が流れる。プットさんも不安を隠しきれない。
だがこいつ……
どうしても歌で心情を表さないと気が済まないらしい。「ららら」とか「るるる」とか、いかにもな感じで歌ってくる。
リックもドン引きである。「かっ」という詰まり方が、並尋常ではない動揺を表している。
そして吟遊詩人プット、彼の歌声は留まることを知らない。とは言ってもたまには歌わないことも……。
どうやらプットさん、ハラが減っているようだ。しかしそんなことはどうでもよくて、へぇ歌わないこともあるんだなこの人、と感心してしまう。
歌わないこともあるんですねなどと言おうものなら、歌った方がいいかなんて聞かれてしまうだろう。いやどっちでも……なんて答えた日には……。
などと自己流の解釈をされてしまうこと間違いなし。どれだけ自分の歌に自信を持っているのだ。
だが、こうやっていいように勘違いしていくポジティブなやつは、この陰鬱としたムーンブルクには必要なのかもしれない。
そしてプットさんは歌い始める。
お得意の「るるるららら」歌法を自然と歌詞に入れ込む。「ハラがへるるるる」とはなんと秀逸か。
ちょっと哲学っぽいことも言い始めた。ビブラートとか多分すごくきいているんだろう。
色々言ったけど結局は「腹が減っているんだ」という訴えだけだった。「ハラ」と「腹」が混同している。彼は詩人だから、なにか意図があって「ハラ」と「腹」を使い分けているはずだ。
問1.プット作『腹が減って倒れそう』の中で、「ハラ」は何をさしているか答えよ。
問2.プット作『腹が減って倒れそう』の中で、「腹」は何をさしているか答えよ。
という問題が出そうだ。
腹が減って倒れそうなときに歌うだけならまだかわいいもので、明らかにふざけている場合ではないときもプットさんは歌う。
城に中にいるスパイを見つけるため、ラーの鏡を使ってみなの正体を暴こうという場。当然プットさんもラーの鏡で調べる対象だ。
ということでのぞき込んでもらう。
普段歌わないキャラクターであれば、このテキストを読んでも大げさに驚いているなとしか思わないが、プットさんにかかれば歌っているに違いないと思わせてくれる。「るるるららら」歌法を使わずともプットさんは歌える。
プットさんは基本的に空気が読めない。魔物たちとの戦いに疲弊しきっている人々の前で平然と歌う。こんな風に。
めちゃくちゃ嫌なことを言ってくる。みながビルダーの力を借りて戦いを終わらせようとしているというのに。
これにはジロームもかんかんである。みんなが一番言いたかったであろう「オンチ」を平然と言ってのける。これがジロームの「カーーーーーッ!」論法である。
貼る画像間違えた。普通に間違えた。
それにしても絶妙なところに「△はいる」が書いてある。どこに入るつもりなのだ。どこに。
気を取り直してプットさん、城に魔物が攻め込んでくる一大事でも歌うことをやめない。
こんなときでも歌い続けるプロ根性。らららー。
プットさんは基本的にネガティブ思考なのか、城のみんなの士気を下げるようなことをよく歌ってくる。
負けることが運命ーーー。と言い切ってしまうのはどうなのか。またしても「るるるららら」歌法をうまく歌詞にいれこんでいるのがなんだか腹立たしい。決まってるるるーーー。
でもまぁ、いついかなるときも歌い続けるプットさんがいるから、なんとか城の中がにぎわいでいるのかもしれない。これはプットさんなりの気遣いなのか。じゃあいつまでも歌い続けてほしいものだ。
いや、そこは歌えよ……。
まじもんの命の危機になるとさすがに歌うことを忘れるプットさんであった。キャラ作りご苦労様である。
(文・やなぎアキ)
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