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【ドラクエ5】ドラクエ5の名脇役といえば?

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これはクラウド。どう考えてもクラウド。

 

クラウド。直訳すると「雲」。太陽を覆い隠して光を遮ることもできる最強の刺客。

 

クラウドと聞くと最近だともっぱらネットワーク経由でサービスを提供してくれる便利なやつ、という印象がある。

 

しかしそうじゃない、そのクラウドじゃない。私の言っているクラウドは、ゲームの世界に颯爽と現れた一陣の風だ。

 

ファイナルファンタジー7の主人公のことかって?違う違うそうじゃない。

 

ゲーム界のクラウドと言われてファイナルファンタジーなどと言っている場合ではない。

 

私たちの心にはファイナルファンタジー7(1997年)がこの世に生を受ける前から、すでにクラウドがいたじゃないか!!

 

そう、1992年に、クラウドはすでに私たちのそばにいたんだ!!

 

 

ジージョの屋敷にいたんだ!!

 

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ジージョの屋敷

ええ?この中にクラウドがいるのかって?いやいない。クラウドは大臣風の男性でも品の良さそうな女性でも豆粒みたいな赤ん坊でも、ましてや灰色の全身細胞の主人公でもない。

 

 

クラウドはこいつだぁぁぁぁぁぁ!!

 

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クラウドーーーー!!名前のところが「*」になっているけど、こいつはクラウドなんだ!

クラウドは主人に尽くすとき最も輝きを放つ……。主人のたった一人の愛する息子・ジージョが魔物にさらわれたとあらば、全世界津々浦々、情報を求めジージョを求め……主人のために雨降る中風吹く中……。主人が直々にクラウドにジージョ捜索を頼むほどだ。よほどの能力があるに違いない。秘められた力、我々にとって未知の力を隠し持つクラウド。クラウド、曇天の男、それでも決して晴れない空はないと懸命にジージョを追い求める。

 

ジージョについて皆目見当がつかないという不甲斐ない報告をすることしかできなかったクラウドの心中はいかに……。怒り当たり散らす主人の気持ちがわからないわけではあるまい。しかしクラウドは忠義の男。主人がそんな醜態をさらしたいわけがない。身を挺して必死に抑え込む……。

 

だ、だんなさま!どうか落ち着いて!蹴りこむならおらをぉぉぉぉ!

 

そんな男クラウド。風貌からしてどこかの農村の出身に違いない。農村……カボチか。クラウドはカボチの男なのだろう。

 

恐らくはクラウドもカボチで畑を耕していたのだろう。しかしその名前が災いしてかしないでか、村に太陽が差し込まない日でも続いたのだろう。曇天の男クラウド。カボチはよそ者に厳しいが、身内にも厳しい面があったのだろう。日の光を奪うクラウドを村人は冷たい目で見つめた。クラウドは優しい男。自分がこのまま村にいては、村は貧しくなる一方。家族も冷たい目で見られることだろう。

 

 

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ばぁちゃん!そんなこと言うもんでねぇ!!おらが村から出ていけば、ぜーんぶ丸くおさまるから!!

 

クラウドは自らカボチを出る。村を出て自分を試したくなったんだ、などともっともらしい理由をつけて、誰にもその涙を見せることなくカボチを去った。

 

そんな村を出て途方に暮れているクラウドに手を差し伸べたのが、ジージョの父、今の主人だろう。主人はクラウドのその薄汚れた顔のなかでもひときわ鋭く光るその瞳になにか感じるものがあったのだろう。

クラウドはできる男だ。すぐさま主人の望む使用人になった。晴れない空はないことをクラウドは知っていた。

 

クラウドに幸せな時が流れた……。

 

 

 

しかし!!!

 

 

 

風の噂で故郷・カボチ村で危機が起こっていることを知ったクラウド。どうやら自分が去った後、畑の作物は凶暴な魔物が食い散らかして言っているというのだ。自分という災いがなくなっても……。クラウドはなんとかしたい衝動にかられ、主人に暇をもらってカボチに走り出す!

 

そこで待っていたのは……。

 

 

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食い荒らされた畑を元通りにしようと農作業に勤しむ村人と、浮かない顔をしている村長たちだった。

 

どうやら畑を荒らす魔物をけしかけた黒幕の男がいたらしく、騙されて村のなけなしの金をとられたらしい……。

 

許さん……。

 

 村人から男の人相や服装を聞き、いつか出会うことがあったら怒りの超究武神覇斬を喰らわせてやろうと誓った……。

 

 

そして!!!

 

 

クラウドが気づかないはずもなかった!主人の家にある日現れたその石像……!聞いただけであったことがあるわけではないが、瞬時にピンときた!そうだ、こいつは……。

 

故郷カボチを陥れた張本人ではないか!!

 

今こそ復讐のとき!!

 

しかし……。

 

何を復讐するというのだ?クラウドは己の中にくすぶる怒りを一度沈め、そして燃え盛る心が曇っていくのを感じた。

 

石になっている、この男は。何があったのかはわからないが、石化している。何があったかは知らないが、それを一番嘆いているのはこの男ではないのか?悔しく、悲しく、怒りに燃えているのではないか?かつてのクラウドと同じである。そんな男にふるう拳を、漢クラウド、持ち合わせてはいない。クラウドはその石像の男と自分はどこか同じではないかと思い始めた。

 

だからこそクラウドは、村をどん底に陥れた張本人を体を張って守る。本当は自分こそが目の前の憎き男を蹴り倒したかったはずなのに。

 

だ だんなさま!

どうか おちついて!

 

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彼は名もなきモブではない。

 

彼の名は、クラウドだ。

 

 

(文・やなぎアキ)

 

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