モンスターを仲間にするとき、大体は倒したモンスターが起き上がってくる。そしてあとをついてくる。
その流れを当たり前のように受け入れているが、なんだかちょっと疑問に思った。
起き上がってついてくるということは、つまりそのモンスターのことを倒しきらなかったということだよな?
倒してしまったら、起き上がることなんてできないはずだ。
ポケモンはわかる。倒しきる前にモンスターボールに入れて捕まえるのだから。そして倒してしまったが最後、もうその個体に関しては捕まえることができないのだから。
でもドラクエは、倒した後にモンスターが起き上がってくる。倒したのに起き上がってくる。そう、倒したとか言いつつ、生きているのだ。
主人公たちはモンスターと戦いながらも、生かしているということなのか?そ、そんなことが許されるのか?
と主人公たちへの疑念が生まれてしまったところで、あることを思い出した。
ドラクエ5でモンスターじいさんが、主人公の愛ある拳でモンスターを改心させることで仲間にすることができる、というようなことを言っていた。改心すると、仲間になるのか。
ならこういうことか。
モンスターは基本的に悪の心で生きていて、主人公たちの鉄拳によって悪の心が打ち砕かれて、息絶える。しかし中には善の心を持っているモンスターがいて、主人公たちの鉄拳により悪の心が打ち砕かれることによって、潜在意識の中で眠っていた善の心がめざめる。そうして第二の生を生きることになり、主人公たちの仲間になるのか。フレッシュプリキュアのキュアパッションのようだな。
つまり一度は死ぬ=倒れる。しかしそこで善の心により生き返り、起き上がってくる。まさに改心。心を入れ替えてとはこのことか。なるほどなぁ。これは我ながら説得力がある。
他にも仮説を考えてみた。
起き上がってついてくるということは、本当に倒していないんじゃないだろうか。先ほどの話は、一応一度は倒している。そのあと生き返るかどうかだ。しかし本当に倒していなかったとしたら?仲間になるならない関係なく。
みんなすべからく、生きているのだ。多分一時的に気を失っているとか、仮死状態とか。そこをすぐ起き上がることができる強い意思の持ち主こそ、善の心を持ったモンスターなわけで。悪の心しか持っていない、仲間にすることのできないモンスターというのは主人公たちの攻撃で完全に意識を失ってしまうんだ。そして主人公たちは先を急ぐから、生死を確認するまえにすたこら旅を続けると。
そして、意識を取り戻したモンスターたちはまた戦いに明け暮れるのだ。どうりでいくら倒してもモンスターっていなくならないわけだ。
そして何度も主人公たちに倒されたモンスターたちは、主人公たちへの恨みを募らせて、己の体を鍛えて強くなっていく。すると、ある日モンスターは進化するわけだ。そしてその進化した体で主人公たちを追いかけて、また立ちふさがってくるわけだ。
初めて主人公たちと戦ったときはか弱いスライムだったが、いくつもの進化を経てスライムベホマズンになっていくわけだよ。あとは他のモンスターとの配合で、最終的に強いドラゴンとかになって、また主人公の前に現れるんだよ。
だから旅に出たばかりの主人公の前には弱い魔物しか出ないし、主人公が強くなっていくにつれて魔物たちも強くなっていくんだ。主人公のあとを追って、やつらは強くなっていくんだ。行く先々強い魔物がいるのも自明の理。
でもさすがにルーラとかの超高速な予測のつかない動きをされると、モンスターたちも追いつけない。だからたまに最初の方の町とかに戻ってみても、魔物はやっぱり弱いままなんだよな。あれ!?主人公たちどこ行った!?ってなる。
そうかそうか、仲間になるモンスターのことは実は倒せていないのでは?と思ったが、まさかの全員倒せていないパターンとは。それはどうなのだ、世界を救う身としては。
だからやっぱり、悪の心を滅して善の心で生き返る案がいいな。主人公たちの行く先でモンスターが強くなっていくことへの論を展開できたのは面白かったけど。
さてここで新たな疑問。
起き上がったのに主人公に仲間になることを拒まれたモンスターというのはそのあとどうなるのだろうか。何をしているのだろうか。
これについてはまた改めてちゃんと考えてみたい。
(文・やなぎアキ)
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