前回までのあらすじ
ちょっぱやでやまたのおろちを倒したモガマルたち。ジパングに平和が戻り、モガマルにもよりいっそう勇者としての自覚が芽生える。
さぁ、次なる冒険に出発だ!
前回
第十六話 サマンオサの王様はやばそうだぞ!
ジパングをあとにしたオレたちは、新たな大地に辿り着いた。ジパングは相当田舎独特な国だったが、この町は都会的だ。立派なお城も見える。
さぁて、第一町人に話を聞くとするかな!
うわ、なんだこいつ。はぁはぁ言って、往来で興奮しているのか。もしかして、オレの見事なスライムボディに打ちのめされているのか。いるんだよなぁ。スライムフェチの人って。
……違うわ。これため息ですわ。スイマセン勘違いしました。でもあなたもね、そんな眼(まなこ)を見開いて口角あげてにっこりしながら「はぁ」とか言っていたら勘違いさせてしまいますよ。ジパングの子供も笑いながら泣いていたし、この追憶イベントは登場キャラクターの表情までは制御してくれないんだな。
うーんさすがモガマル。ちゃんと即座にこの男の人が落ち込んでいるのを見抜いたか。表情にまどわされないモガマルだからこそ、ルビス様は登場キャラクターの表情を手抜きするのかもしれないな。
ええっ!!王様の悪口を言っただけで死刑!?それはとんでもないことだ!つまりこの若者は、ブレナンという友人が死刑にされたことを嘆いているんだな……。いくら国のトップでも、悪口を言われただけで死刑にするのは非道すぎる!
なぁモガマル!
さすがのリアクション。目ん玉の飛び出し具合が今日もgoodだ。オレも跳ね甲斐があるというものだ。
ええ!?ブレナンだけじゃなくて、他の多くの人も毎日死刑になっているのか!?
毎日死刑を執り行うなんて、国民のことを何だと思っているんだ!ものすごいスピードで人が減っていくだろう!税金とかどうするんだ!税金はいわば国の酸素だぞ!国民と言う赤血球が税金という酸素を国という身体にいきわたらせるからこそ、国が機能するんじゃないか!!その赤血球が減ってしまったら、酸素がいきわたらなくなるぞ!国そのものが崩壊するぞ!
慣れない分野でのたとえ話は、余計に頭を使うので今後はなるべく控えたいと思う!
そうだったのか、そんなひどい王様も昔は優しい人だったんだな……。なにがあったんだろうか。悪口だけで激怒してしまうなんて。
たしかに、お城にいって何か粗相でも起こしてしまったらオレたちも死刑になってしまうかもしれないな。君子危うきに近寄らずってやつか。
それほど短気なやつだって国民はわかっているはずなのに、まだ悪口とか言っちゃうやつもいるんだな。ブレナンの性格は絶対「いのちしらず」だ。素早さが高くなるはずだが、王様の手からは逃れられなかったようだな。
お城に行かない方がいいと言われて、はいそうですかと引き下がる我々ではないぞ。正義感の強いモガマルのことだ、このサマンオサのことも救おうとするに違いない!
よぉし、またいっちょ人肌脱ぐとするか!
次回予告
サマンオサの王様がかなり悪いやつであると気付いたモガマル。このまま放っておくわけにもいかないだろう。
これは一回、王様に実際会いに行くしかないようだな!
次回、「王様に直談判すべきだ!」!!
モガいてばかりじゃ、冒険王にはなれないぜ!
(文・やなぎアキ)
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