前回までのあらすじ
ひょんなことから封印を解いたモガマル。すると精霊ルビスが現れたではないか。
じじいに怒られながらも挨拶を済ませたモガマルは、ルビスの話を聞くことにした。
前回
第二話 おいらが勇者になるのか?
挨拶だけ済ませて、はいさようならというわけにもいかない。
精霊ルビス、もとい、ルビス様は何か用があって現れたんだろう。まずはじっくりと話を聞かせてもらおう。
本来であればモガマルが聞くことだろうが、じじいが先走って話を進め始めた。まぁいい、話の進行くらいしか本から出られないじじいの役目はないもんな。
それで、ルビス様はアレフガルドではなくなぜここにいるのだろうか。
なるほどな、ルビス様にはやるべき使命があったのか。アレフガルドだけでは完結せず、異世界に来なければならない使命とはなかなか難儀なものだ。オレなんか、二つ隣の駅に外出しなければいけないときだって、辟易してしまうというのに。
そして、この星に封印されてしまったのか。
さすがモガマルだ。聞きたいことをズバッと聞いてくれる。
でもな、モガマル。誰なのかわかっていたら、「何者」なんて言い方はしないんじゃないか?
「田中の給食費が何者かによって盗まれた」
「せんせー、それは一体誰ですか~」
「山田だ」
いや、伏せた意味!最初から言って!田中も山田もかわいそう!
当然ルビス様にもわからない。うちのモガマルがアホな質問をして申し訳ない。
後ろではてなを出し続けているモガマルとじじいのことは放っておいて、淡々と話を続けるルビス。安心してくれ、このオレ、スラッピだけでもルビス様の話はちゃんと聞いておく。
なるほど、たしかにな。使命を果たさんとブルリア星に着いたとたんに封印されたわけだしな。
仕事場についてPCを立ち上げたとたん、Windowsのアップデートがかかるようなものだ。使命を邪魔するためにアップデートをはかるのだろう。
つまり、ルビス様の使命を邪魔しているのはMicrosoft……?
Microsoftなのかどうかはさておき、ルビス様の使命の方も気になる。
すかさず使命について聞くモガマル。じじいも興味津々だ。
なんということだ、ルビス様がすでにモガマルの正体に気づいていたとは。
そう、何を隠そう、モガマルは冒険王の孫だ。モガマルの祖父、モガジジは冒険王だったのだ。もちろんモガマルの父、モガパパも。
本から出ているじじいは、本に住んでいるじじいだ、単純に。あとは僕の祖父ではある。ただそれだけ。
しかしなぜバレたのだろうか。
会ってすぐバレていたのか。モガマルから隠し切れない冒険王としてのオーラが出ていたのか。
それとも、モガマルのポケットWi-Fiの名前が「bouken_king_mogamoga」だったからだろうか。やめとけって言ったのにな。
なぜか喜ぶじじい。そろそろ本に引っ込んでくれないだろうか。
ルビス様の使命は、冒険王であるモガマルとその僕に勇者の人生を追体験してもらうことなのか。
……なんで?シンプルに考えて、理由がまったくわからない。
なんだ?テーマパークとかでありそうなアトラクションだ。
乗り物に乗って、勇者の人生を3Dアクションで見せていく、そんなアトラクションだ。ルビス様、完全に乗り場にいるお姉さんじゃないか。
シートベルトをちゃんとしめているか、黄色のベルトを引っ張ってルビス様に証明しなければいけないんじゃないか?
そんなオレの疑問はよそに、モガマルはワクワクを隠せない顔をしている。
ほらね。
すかさずしもべに同意を求めるモガマル。よしてやれよ、モガマルのやることに意見なんてできる立場のやつらではないのに。
じじいもモガマルが勇者になることには賛成のようだ。
なぜ誰も疑問に思わないんだ、ルビス様の使命に。それをすることによって何が起きるのか聞いてもいいだろうに。
本当にアトラクション感覚だな、こいつら。
ほら!もう完全に乗り物が出発したよ!3Dメガネは持ったのか???
かくして、モガマルとオレたちの冒険は始まった……
次回予告
とうとう勇者の人生を追体験しはじめたモガマル。
とりあえずは王様の話を聞いてみるが……偉い人の話はどうしてあんなにも長いんだろうな。
次回、「おいらの父親はモガパパだぞ!」!!
モガいてばかりじゃ、冒険王にはなれないぜ!!
(文・やなぎアキ)
次回
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