──ベロニカが、最近ちょっと冷たい。
カミュが思いつめた顔をしていると、シルビアがいつもの調子で話しかけてきた。
「カミュちゃん!アナタ最近ちょっと元気ないんじゃない?」
こういうときのシルビアはお節介だが、うんざりしながらもカミュは相談してみることにした。
「シルビアってさ、人に嫌われたり冷たくされたりしたことってあるか……?」
彼に限ってそんなこともないだろうと思ったが、シルビアは途端に神妙な面持ちになった。
「うーん、滅多にないんだけどね。でも、実は最近、セーニャちゃんがちょっと冷たいのよ」
あのセーニャが?と疑問に思ったが、そういえばセーニャが先日、珍しく怒っていたのを思い出した。
たしか、みんながふざけてセーニャにパレードの服を着させた日の夜だった……はずだ。
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「絶対セーニャに似合うわよ、アタシが保証するわ!」
シルビアがドン、と自分の胸をたたく。
「い、いえ。私にはもったいないですわ、そう思いますわよね、カミュさま」
「……え?どうだろうな、似合うんじゃないのか?背も高いし」
この一言がいけなかったのかもしれない、シルビアがますます乗り気になってしまった。
いや、その時まではみんな冗談みたいな雰囲気だったのだ──ロウとマルティナが来るまでは。
「へぇ、セーニャがパレードの服を着るの?いいじゃない、私も協力するわ」
マルティナがそう言うと、その横でロウがものすごい鼻息を荒くしながら何度も頷いた。ついでにグレイグも。
さすがにベロニカが止めに入った。
「ちょっとアンタたち!私の妹をいじめないでよ!それなら私が着るわっ!」
すかさず始まるロウの手拍子(ついでにグレイグ)。
カミュは助け船を出そうと、手を挙げて「ベロニカのサイズ、ないだろ」と言った。
「たしかにないわね、いい案だと思ったけれど、じゃあやっぱりセーニャが着るしかないと思うわ!」
「ししし、失礼ね!私だってあのモンスターたちがいなかったら、そりゃあもうみんなが驚くような華やかさでパレードできたんだからっ!」
じゃあやっぱりブカブカであってもベロニカが着るべきでは!とグレイグが意を決して発言しようとしたとき、セーニャが声を張り上げた。
「もういいですっ!私が一人で町中をパレードして歩きますわっ!お姉さまは小さいんですから、無理なさらないで!」
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──そうか……そりゃセーニャがシルビアに冷たいわけだ。
女心がわかっていないんだな、意外と。
じゃあなんで俺はベロニカに冷たくされているんだ、そう考えたときに、カミュはパレードの服を着たセーニャの後ろ姿を見つめるベロニカに言ってしまったある一言を思い出した。
「なーんだ、やっぱり似合うじゃん。ロウとかは背丈がないから似合わないんだろうけど……」
──もしかしてこれか……?
カミュはベロニカが閉じこもっている部屋をノックし、聞いてみることにした。
「なぁ、お前、セーニャがはずかしめられたからじゃなくて、自分の身長のことを言われたから怒ってるのか?」
大きな舌打ちがドアの向こう側から聞こえた。
※こちらの短編は、DQフリメンバー同士が酩酊状態で1行ずつ交替しながら書いた下書きなし小説です。お楽しみいただけたら幸いです。キャラ崩壊していて申し訳ございません。
(文・リモート侍&鎖骨戦士ヤマネ)
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