ドラクエファンのあなたなら、タンバリンと言われると誰のことを指しているのかすぐにわかるだろう。
不本意と思っている方もいるとは思うが、そう、ドラクエ8のククールである。
ちなみに私自身は率先してタンバリンと呼ぶことはないが、誰かがそう言っていればククールのことだなとすぐ理解できる。
なぜ彼がこう呼ばれているかの詳しい説明は省くが、要は終盤の戦闘になるとククールは器用貧乏すぎて、やることがなくなるからタンバリンでも毎ターン叩かせておこう、というわけだ。
ククールのタンバリン係は相当板についており(最初は恐らくネットでそう呼ばれていただけだったはずだ)、いつのまにかヒーローズ2やライバルズでも揚々とタンバリンを打ち鳴らす人になってしまった。
誰もがククールはタンバリンの人なんだと認識していることだろう。もちろん私も。
メモリーカードは変わらないがPS2は買い替えた
少し話は変わって、私はある日PS2のスイッチを入れた。PS2の中にはドラクエ8が入っている。そしてメモリーカードには当時初めてプレイしたときのデータがそのまま残っている。
2004年の年末、外に出るのもほどほどにドラクエ8に熱中していたあの頃の私の思い出がありのままの姿で残っているのだ。
随分と昔のことに思えるが、しかしあれだけ熱中していたゲームということもあり、各々がどのような装備だったか、どのスキルを育てていたかは覚えている。そう、私は全てを覚えている。
そう思っていた。このときまでは。
久しぶりの再会と謝りたいこと
久しぶりの再会はベルガラックだった。大方大してやることもなくなってカジノに入り浸っていたのだろう。たしか竜神王の最後の試練まではクリアしていないはずだったが。
とりあえず持ち物と装備の確認をしてみる。
ああやっぱりそうだ、こういう装備だった。そうそう。と思い出に浸っていると、ククールの所に来て私は驚く。
タンバリンがない……?
世にそのタンバリンありと知らしめたククールがタンバリンを持っていなかったのだ。では誰が持っているというのか。
ゼシカだった。
なんということだろうか。過去の私はククールではなくゼシカにタンバリンを持たせていたのだ。
ゼシカと言えば強力な魔法攻撃だけではなく、双竜打ちのとんでもスキルで有名だ。さらには優秀すぎるハッスルダンスの存在も欠かせない。(まぁムチスキルあげていなかったから双竜打ちしたことないんだけどね)要は戦闘の場で大忙しのご令嬢なのだ。
しかしこの紛れもない事実。当時まだ未熟だった私は、ゼシカにひたすらタンバリンを叩かせていたことになる。攻略情報を見ずにプレイしていたからか、それこそが正解であると妄信していた。だから竜神王の試練に苦戦していたのか。
だからなのか、私はククールをタンバリンと呼ぶ風潮に今一つ乗り切れていなかった。なぜなら私はタンバリンにククールをククールにタンバリンを叩かせたことなど一度もないのだから。※さっそく間違えてしまったがあえて消さずに残しておこう。
だがしばしドラクエ8から離れ、ネットというものを覚えてしまった頃にはそのことを忘れてしまったのだろう。タンバリンを叩く男として定着してしまったククールの存在を、数年後の私はあっさりとはいかないにせよ受け入れてしまったのだ。すまないククール。
私はすっかり思い出を塗り替え、「ククールと言えばタンバリンでしょ」という言葉に相槌を打つ人間になってしまっていた。ネットを知らないままでいれば、私の中でタンバリンはゼシカのままだったのだ。タンバリン叩いたりマラカスを振ったり忙しいご令嬢のままだったのだ。
せっかくなのでタンバリンをゼシカに叩いてもらう
ということで当時を思い出してゼシカにタンバリンを叩いてもらうことにした。
コマンド選択をしていて気づいたが、たしかにタンバリンはククールが持った方がいいようだ。雑魚戦などはゼシカにイオナズンを唱えてもらった方がいいのだから。
では御覧いただこう、ゼシカのタンバリンさばきを。
は、速すぎて見えない!神速のタンバリン使い!!
決して撮るタイミングが上手くいかなくてぶれているわけではない。何回も挑戦したけどこんなぶれぶれの画像しか撮れなかったわけではない。こんなのしか撮れないからもういいやと妥協したわけでは(以下略)
これほどまでに巧みなタンバリンさばきを見せてくれるのだ。ゼシカに使わせるのは間違いではないだろう。
私は再び思い出を真実のものへと塗り替えた。ククールのことをタンバリンとは呼ばない(元々呼んでないけど)。そして、数年間偽りの思い出に囚われていたククールにはもう一度謝りたいと思う。本当にすまなかった。
ちなみに3DS版をやる頃には、すっかりククールはタンバリンを叩く人だと脳内に定着してしまったようだ。タンバリンを叩く彼の姿がそこにはあった。
(文・やなぎアキ)
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