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【モンスター】某魔族の王は、今すぐ労基にかけこむべきだ。

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敬愛なる読者の皆様、こんにちは。
いきなりだが、質問させて欲しい。

皆様は、寝ている最中にいきなりクライアントや上司から電話がきて、たたき起こされた経験はあるだろうか?

 

そんなの、どう考えても最悪の経験だ。

今日はそうした最悪の経験を、こともあろうか何度もさせられている、ひとりの魔王について語ろうと思う。


せっかくの休日──疲れて泥のように惰眠を貪るなか──聞きなれたコール音が鳴り響くのは、もはやトラウマものだ。
しかしドラクエには恐ろしくも、叩き起こされた挙句、寝ぼけているままで、いきなり囲まれて殴る蹴るの暴行を受ける悲しいキャラクターが存在する。

 

 

早速ご登場いただこう。
魔族の王・エスタークさんです、拍手!

ドラクエ4プレイヤーに強烈な印象を残す、ストーリー上でも大きな役割を担うエスターク。
先頭に入る時のセリフは非常に悲しい。
「なに…やつだ……。我が眠り…さまたげる者は……。」
これ絶対、深い眠りのせいで口の中カラカラになってるやつだ。うまく話せないやつだ。
彼は何か、おかしいことを言っているだろうか?
とりあえず名乗れ、くらい言う権利はあるはずだ。
しかし主人公たちはそれを無視して、エスタークにいきなり切りかかる。

本気で怒っていいと思う。

戦闘が始まってもまだ起きる事ができないエスタークを、容赦なく切りまくる勇者たち。自分たちが正しいと思い、それを無理やり押し付けてくるサマはまるでブラック上司だ。

お前らだって宿屋で寝ている最中に襲われたらイヤな気分になるだろ──と思うが、勇者たちにとっては自分たちが正義そのものなのだ。その枠組みから外れてしまうと、殺戮の対象だ。勇者たちも、自らの正義執行でむしろ高揚感すら感じていそうだ。

寄って集って複数人で……まさに人でなしなんだから(あくまでエスターク目線では)。

 

 

しかも勇者たちは彼を倒したあとに、こともあろうかその死体を調べる。他のボスにはそんなことしないのに……。
そして主人公たちは、吐き捨てるようにこうつぶやくのだ。


「へんじがない、ただのしかばねのようだ」

 

お前らが殺したんだよ!!!
死体を弄ぶんじゃない!!!

 

──しかし、ドラクエ4の主人公たちは致命的な誤診をしていたのだ。

むしろプレイヤーたちも騙されていた。


寝起きの帝王は、ただ気絶していただけだった(?)のだ。
そして一命を取り留めたエスタークは、ドラクエ5の裏ボスとして再登場し、世界を救ったあとの主人公たちに再度寝こみを襲われる。やり込み要素として。


いい迷惑である。
何故彼は、こんな仕打ちを……


考えてみてほしい。
毎回、彼を起こすのは成長しきったベストメンバーたちなのだ。
起きるや否や、フルボッコである。
ドラクエ史上、最も悲しい自己防衛ではないだろうか。

起き抜け、エスタークはこうつぶやく。


「グゴゴゴゴ……。 誰だ? わが眠りを さまたげる者は?
わが名はエスターク……。 今は それしか 思い出せぬ……。
はたして 自分が善なのか 悪なのか それすらも わからぬのだ……。
その私になに用だ? 私を ほろぼすために やって来たのか?」

 

ほら!悲しい!


自分が善かも悪かもわからなくなるほど疲れているのだ、彼は。どれだけ疲弊しているのだろうか?

仕事が重なってくると「今自分がしていることは社会にとってプラスなのか……?」とか考え始めちゃう、あれと変わらない現象だ(多分)。

グゴゴゴゴ……も、多分だけど、睡眠時無呼吸症候群によるイビキ。


今現在は悪いことをしていないエスタークを、将来の危険分子として殺そうというのだから、やっていることはドラクエ4のピサロと変わらない。

 

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眠りを妨げられておきながら「はい(滅ぼしに来ました!)」という好戦的な答えが返ってこない限り戦わないあたり、彼の睡魔は限界である。

 

怒りよりも先に、睡眠欲が勝っているのだ。夜勤明けの社畜もビックリの睡魔だ。
戦う前の「私は滅ぼされるわけにはいかぬ」というセリフも、泣かせてくれる。
私も社会に負けないように生きていきたい。

 

そのあとのシリーズで、彼がどんな報いを受けるかご存知だろうか?
ドラクエ8でまた叩き起こされ、倒される。既に世界観すら繋がっていないのに、なんの脈絡もなく呼び出され、倒されるのだ。
そしてドラクエモンスターズシリーズでもお決まりのキャラとして新作が出るたびに叩き起こされ、倒される。

 

弱り果てた帝王は、テリーのワンダーランドで遂に最後の手段に出る。
「お前を滅ぼしに来た」と告げる主人公に対し、「グゴゴゴゴ……。……どうやら 眠ってしまったようだ。もういちどきこう」と狸寝入りするのだ。

最後の、最後の手段じゃないか帝王よ……(しかも子供相手に)。

滅ぼすわけじゃない、従えたいんだと言うまで無限ループを繰り返す。
これはある意味、帝王が身に着けた処世術なのかもしれない。
そしてそのままテリーに従うようになるあたり、転職感があってちょっと良い。

 

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どうか、新しい職場では安らかな眠りにつけるとよいのだが……。

それとも、最強クラスのボス・エスタークはいつまでも働かされ、安眠を得ることはないのだろうか。
合掌。

 

(文:OGTキシン)

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