くさったしたいは、くさっている。
でも中には、くさっていないしたいもいると思う。
そういうやつが、仲間になってくれたりするんだと思う。
くさる(腐る)
①細菌の作用によって変質する、腐敗する。
②気分が滅入って、気が沈む。
②気分が滅入って、気が沈む。
以下、くさったしたいと、くさってないしたいの会話。
くさったしたい「ああ~、死んだ後もモンスターになって働かないといけないとかだるいわ」
くさってないしたい「そう言うなって!死んだ後もやるべきことがあるのは素晴らしいことじゃないか!」
くさったしたい「なんでお前そんなに前向きでいられるの?だって俺たちくさってるんだよ?ほら、よだれとかすごい垂らすし」
くさってないしたい「だって俺にはやりたいことがあるから!せっかく第二の人生を与えられたんだし、くさってなんかいられないよ!」
くさったしたい「いやくされよお前~。大体モンスターになっちまったら、そのやりたいこともやれないだろ。どうせ、勇者一行にやられるんだ俺たちは。打撃しかできないから一矢報いることもできやしない」
くさってないしたい「それ!それだよ、勇者に会ってさ、一緒に旅をしたいって言うんだ!世界を救う旅に、俺も出たいんだよ。生前からの夢だ」
くさったしたい「無理だろ~。くさってるんだよ?右目とかないんだよ?遠近感つかめないやつ、足手まといだろ」
くさってないしたい「最初から無理なんて言っていたら本当に無理になるんだぞ!俺はこの夢を一心に思い続けていたからこそ、したいとしての第二の人生を与えてもらえたと思っているんだ」
くさったしたい「いやランダムだろ。俺何にもないけどくさったしたいになれたぞ」
くさってないしたい「……。」
くさったしたい「大体な、こんなぐじゅぐじゅで臭くて気持ち悪い姿をしているやつ、勇者だって仲間にしたいと思わないだろ」
くさってないしたい「そ、それはわからないだろ!外見の良し悪しなんか、勇者は気にしないさ……」
くさったしたい「俺たちの腐臭レベルは容易にその、気にしませんよの壁を超えていくんだよ。あ、やっぱりごめんなさい。ってなってそこからあと全く目を合わせてくれなくなるレベルなんだよ」
くさってきたしたい「そ、そうなのかな……」
くさったしたい「諦めろ、俺たちはしょせんくさったしたいなんだよ」
くさってしまったしたい「そう言われると、そうだよな…俺たち、くさったしたいだもんな……」
くさったしたい「ああ、もうこれからは、いかに勇者たちに見つからないように過ごすかってことだけだぜ」
ずいぶんとくさったしたい「もういっそ勇者にさっさと見つかって、倒され方が楽だよな。俺たちなんて」
くさったしたい「お、おう」
~数日後~
くさったしたいたちを倒した!
すっかりなじんだくさったしたい「へっ、こんな世の中もう未練なんかないからな。ようやくお役御免ってわけだよな」
くさったしたい「(ムクリ)」
しんじられないようすのくさったしたい「な、お前、何起き上がってるんだよ!」
くさったしたいが仲間になりたそうな目でこちらを見ている!仲間にしますか?
はとがまめでっぽうをくらったようなかおをしているくさったしたい「む、無駄だぞ。俺たちはくさったしたいなんだ。どうせ眉間にしわを寄せられて、お前に背を向けるにきまってるさ!」
→はい
しにゆくくさったしたい「うらぎりものぉぉぉぉぉぉ!!!!」
スミスは嬉しそうに馬車に駆け込んでいった!
(文・やなぎアキ)
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